(16日、第106回全国高校野球選手権奈良大会2回戦 郡山7―2西和清陵)
「どんどんつないでいこう」。六回表西和清陵の攻撃。1死から四球で魚谷慎之助(2年)が出塁し、投手の浅野謙弥(3年)に打席が回ってきた。ベンチ入り選手10人のチームが、シード校の郡山に0―1で食らいついていた。
初球のストレートを思い切り振り抜くと、左翼ポール際へ。試合をひっくり返す今大会の第1号本塁打。「興奮しすぎて覚えていない」。夢中でダイヤモンドを駆け抜けた。
点差の開く展開を見込んでいたが、決め球のフォークで三振を取り、走者を背負いながらも要所を締めた。「チームが一丸となって、『このまま行こう、勝てるぞ』と押せ押せだった」と振り返る。
ただ、本塁打はシード校の目の色を変えた。六回裏の守備では失策や四球もあり、走力を生かした郡山に再逆転を許した。七回にも追加点を奪われた。
昨秋と今春の大会はコールド負けで終わった。「後半の投球はもったいなかったけど、最後まであきらめず、チームみんなでやりきれた。人生の中で一番楽しい試合やった」。本塁打は家に帰って、テレビで振り返る予定だ。「自分すごいな、って思いたい」(上田真美)
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