(16日、第106回全国高校野球選手権大分大会2回戦 中津東0―7明豊)

 七回裏2死一、二塁、昨夏の王者・明豊と6点差。1点を失えばコールド負けが決まる――。中津東の金田龍乃介投手はそんなピンチの場面で、捕手が構えるミットを見て笑みを浮かべた。

 明豊の打席には、代打の高木真心(しん)選手がいた。明豊中学校の同じ寮で同じ部屋だった友人だ。自身は地元の中学へ転校したが、高木選手との交流は続いた。それぞれ別の高校に進学した2人。「いつか対戦できたらいいね」と話していた。

 昨秋、主将を任された。スローガンは「明豊に勝てるチームに」。今大会は初戦突破で明豊と戦う組み合わせになり、闘志を燃やしながらも高木選手との対戦を楽しみにしていた。

 明豊ペースで進んだこの日、終盤に高木選手との対戦を迎えた。140キロ前後を投げるなどして、2ボール2ストライクに追い込んだ。5球目、内角低めの変化球に高木選手のバットが空を切った。小さく控えめなガッツポーズをしてベンチに戻った。

 「ずっと左バッターの内角低めに投げる練習をしてきた」と金田投手。最後の球が「一番いいボールだった」。思い出に残った夏が終わり、次はプロを目指すという。(大村久)

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