学習した内容をもとに文章や画像などを作り出す生成AI。県内では民間や行政でも導入され、中には8割近くの業務削減につながったというケースも。どのように活用されているのか県内の現状を取材しました。
【AI鈴木】
「こんにちは、なにか話したいことある?」
【野口】
「最近、休日はなにをして過ごしているの?」
【AI鈴木】
「最近は料理にハマっていて、自炊に力を入れているんだ。それから、スポーツ観戦も相変わらず楽しんでいるよ」
【野口】
「いいね、どんなスポーツが好きなの?」
【AI鈴木】
「やっぱり野球が一番好きだね」
私と話しているのは、新人の鈴木アナウンサー・・・ではなく、鈴木アナウンサーへのインタビューを基に声やプロフィールを学習した仮想人格。
「スポーツ観戦が好きなんですね。特にどのスポーツを観るのが好きですか?」
【鈴木アナウンサー】
「小学校からずっと野球をしていたので、野球を見るのが特に好きです」
写真を登録して5〜6問の質問に答えていくと5分ほどで設定が完了。
仮想人格は生成AIの技術で文章や音声、画像を生成し、受け答えできるようになります。
これは、AI技術の利活用についてアドバイスをしている佐賀市の企業、インデペが開発したサービスです。
【株式会社インデペ開発担当 村田恵介さん】
「このメントというサービスはクラウド上で故人の代わりにAIが活躍することを目指したサービスです」
死者の形見、という意味をもつメメントという言葉から名づけられたこのサービスは故人の情報を元に仮想人格を作り、故人を悼んだり、自分の祖先を知り自分のルーツを学んだりできないかという着想から開発されました。
【株式会社インデペ開発担当 村田恵介さん】
「就職活動のところで、志願者さんのAIを作って、アバターを作って、そのAIと人事担当の方が面接をするといったサービスを考えております」
面接やお見合いの場面を想定し事前にAIと練習することでより円滑に交流できるといった使い方も。
来年の春ごろからの運用開始を目指し開発が進められています。
生成AIの活用は、民間企業だけでなく自治体でも。
佐賀県庁では去年、庁内に検討チームを立ち上げ、半年にわたって業務時間の削減効果を検証しました。
その結果、アイデア出しや文章の校正、あいさつ文の下書きなどに、70〜80%の作業時間の削減効果がみられたということです。
こうした結果を踏まえて、11月、生成AI活用ガイドラインを改訂し、新たに2つのツールを導入。
県庁全体で活用がはじまっています。
【佐賀県産業人材課 窪薗宏俊係長】
「私の場合は常に画面に立ち上げていて、もう何か疑問があった時に、壁打ちしているような状況です」
就職セミナーなどを開き県内企業の人材確保を支援している産業人材課の窪薗さんは、文章の作成や誤字脱字のチェックのほか、魅力的なセミナータイトルの案出しなど日常的に活用をしています。
【佐賀県産業人材課 窪薗宏俊係長】
「曖昧な入力でもかなり生成AIで整理してもらえる。作業効率としては非常に上がりました」
生成AIの導入を担う行政デジタル推進課は庁内での活用を進める一方、生成された文章などをそのまま使用しないことや、個人情報など外部に公開してはいけないデータを入力しないことなど使用上のルールを定め、徹底していると強調します。
【佐賀県行政デジタル推進課 土井慎一課長】
「まだまだいろんな可能性があると思うので、これからいろんな分野の方に先ほど言いましたルールをしっかり守りながら使ってもらっていろんな可能性を探り出していきたい」
では生成AIの課題やリスクとは?去年からグループで生成AIサービスを提供しているNTT西日本の担当者に話を聞きました。
【NTT西日本デジタルデータビジネス担当 葛島航大さん】
「生成AIが嘘をつくことがあるといったところです。生成AIは賢いがゆえにどんな回答でも返そうとするんですけれども、その中に嘘の情報っていったところが紛れていることがあります」
これは「ハルシネーション」と呼ばれる現象で学習した情報が不足していたり古かったりすることが原因で起きることがあります。
また、学習させる内容にも注意が必要です。
【NTT西日本デジタルデータビジネス担当 葛島航大さん】
「機密情報でしたり、あと個人利用とかでも、個人情報を入力することによって全く関係ない第三者の回答文としてそれが学習した結果出てきてしまうそういった危険性があります」
他にも、著作物などを学習させる場合、生成物の使用意図などによっては著作権侵害となることも。
しかし生成AIはあくまで道具。
どのような使い方をするのかはその人次第です。
【NTT西日本デジタルデータビジネス担当 葛島航大さん】
「危険性があるようなものもあるんですけども、やはりまずは使ってみて、楽しんでみて、また安全に使っていただくことが大切だと思いますので、そういったところに気を付けて皆さんぜひ使っていただきたい」
さまざまな場面で活躍している新しい技術、生成AIですが、嘘の情報、いわゆるフェイクニュース対策も問題となっています。
特徴をしっかりと理解して上手に付き合っていくことが鍵になりそうです。
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