大阪府岸和田市の市長が、女性との性的関係を巡って謝罪することなどで和解した問題です。

市長が所属する大阪維新の会は、「説明がなければ除名」とする処分を発表。

一方、市長は5日、「説明責任を果たすため、相手方に協議を申し入れたい」と話しました。

■市長“続投”の意向も 所属する維新から説明責任を果たさなければ“除名”処分

【岸和田市 永野耕平市長】「進退について、基本的には前から変わってない。辞めるような悪いことはしてないので、しっかり頑張っていきたい」

5日も、続投する意向を示した岸和田市の永野耕平市長。

しかし、所属する大阪維新の会は、4日、綱紀委員会を開き、永野市長に対し、「離党勧告」を行うことを決定。

その上で、12月8日までに十分に説明しなければ「除名」処分とするとしています。

大阪維新の会の吉村代表は…。
【大阪維新の会 吉村洋文代表】「永野さんの主張が『いや違う』という中で説明がないので、説明責任を果たすべき。8日というのは決めていますので、8日が期限であることは変わりないですけど」

一方、市長は3日、市議会に対し「除名」処分を受けた場合は、辞職する考えを明らかにしていています。

【岸和田市 永野耕平市長】「維新の会のルールの中で除名されたら、議員であったり、市長であったり、役職を辞任すべきであると書かれている。その場合は、そのような対応(辞職)になると思っています」

また、市長は維新の会に対し「離党届」を提出していますが、受理されていないということです。

■性行為強要 第三者も関与がもしあれば「おぞましい」「そんなことはない」

2019年からおよそ1年半にわたり、性行為を強要したとして、政治活動で関わりがあった大阪府内の女性から損害賠償を求められた永野市長。

謝罪と解決金500万円を支払うことなどで和解が成立しました。

代理人弁護士によると、女性は裁判の中で「市長と一緒に、第三者からも性被害を受けた」と訴えていたということです。

この内容について市長に説明を求めると…。

【岸和田市 永野耕平市長】「内容については答えられないですけど、そんなこともしあったらひどいですね。それはおぞましいなと思いますし、そんな内容について聞くのも嫌ですよね」

答えられないと話しました。

5日の会見でも「第三者の関与」について、事実関係を問われると…。

【岸和田市 永野耕平市長】「極めてひどいことだと思います。そんなことはないです」

改めて否定しました。

■「女性側と協議し話せることを話したい」と市長

これまで会見や議会できちんと説明することを求められても、「秘匿」という姿勢を貫き続けてきた市長。

しかし、5日の会見では一変します。

【岸和田市 永野耕平市長】「相手方の代理人に、こちらから『この程度なら言っていいですか?』という協議を申し入れたりとか、裁判所に対して『非開示の決定(内容)』について、開示させていただけないかということを申し出て、和解調書の内容について、皆さんに知ってもらえるようになったらいい」

(Q.なぜこのタイミングで開示を求めたいと思った?)
【岸和田市 永野耕平市長】「僕が想像していた以上に誤解もされていますから、もうちょっと話したいなという気持ちになっていった」

「女性側と協議し、話せることを話したい」と心境の変化を述べました。

■「はっきり自分の言葉で伝えて」と市民

これまでの市長の対応について岸和田市民は…。

【岸和田市民】「相手の女の人に対しても、ちゃんとどう思っているか、はっきり自分の言葉で伝えてほしい」

【岸和田市民】「『すいません』と仮に謝ったとせえや。せやけど、道義に外れたことをするような人を、岸和田の市長としてこのまま、なんぼ仮に謝ったとしても、おいとくわけにはいかんと思いますよ」

また、岸和田市議会は、5日、不信任決議案などの市長への対応について協議しましたが、結論は出ませんでした。

永野市長は、どのように説明責任を果たすのでしょうか?

■問題発覚1週間 市長の発言の変化 維新の“除名処分”きっかけの一つに

この問題が表面化して1週間です。4日までと、5日の発言で一転しているところがあります。

4日までの発言では、「私に法的責任がないので話す事はない」、「すでに和解済みなので申し上げることはない」「裁判が“秘匿”なので内容は答えない」としていました。

5日になって、「さらなる説明責任を果たせるよう考える」「女性側、裁判所と相談し、どこまで話せるか調整する」「記者・議会・市民の声が、1つ1つ積み重なり、話したい気持ちになった」としています。

さらに追加で記者の質問があり、「このタイミングは維新の処分を受けたからでは?」という趣旨の質問に対し、て「それも1つだ」と市長は答えました。

維新の処分の経緯です。

・11月28日、問題が表面化したその日に、維新は問題を受けて綱紀委員会を立ち上げました。

・12月3日、市長は維新からの処分の前に、離党届と説明文を提出。
※離党届に関して、維新は受理をせず

・12月4日、維新が離党勧告を決定。さらに8日までに十分な説明がなければ、“除名”処分を検討することも明らかに

・12月5日、市長は「更なる説明責任を果たしたい」と発言

8日までに十分な説明が無ければ、維新は除名処分としていますが、市長はかねがね会見や議会の中で、「除名処分があったら、辞職する」意向を示しています。

■「全て話すべき」と菊地弁護士

説明責任がどこまで果たされるのでしょうか。市長は、何でもかんでも話すということは控えるが、どこまで話せるかということについては、女性側に許可をもらって調整して話せることを話すとしています。

この問題について番組コメンテーターの菊地幸夫弁護士は次のように話しました。

【菊地幸夫弁護士】「まず基本的には市長という立場で、今回500万円という金額を払って和解をしたという、ここからすれば、全て話すべきだと思います」

「ただ裁判の記録は残ります。それは誰でも見られます。ところがプライバシーとかいうようなことがあると、『これは人には見せないでください』という申し出が可能です。それが今回、かかっているということなので、市長独自の判断でしゃべるわけにはいかない。これは分かります」

「じゃあ『これはふせといてください』というのが、どの範囲までなのか。そこじゃない範囲から出ている所は、説明できるんじゃないかと疑問が残ってしまいます」

和解調書の前文で裁判所は、「(市長に対して)社会的な上下関係が形成されていた」「性的関係を持つことは、よくよく自制すべきであった」と指摘しています。

このようなことに関して、説明責任があると考えられるということです。

【菊地幸夫弁護士】「特に最後の1行です。『非難を免れることはできない』と、裁判所に言われているのに、『私には非がない』と言ってる市長は、どうしてそう違うのかということを、やっぱりご説明するべきじゃないですかね」

【関西テレビ 神崎博報道デスク】「これまで市民の方やメディアが『ちゃんと説明してほしい』と市長に求めてきていましたが、これまでは『秘匿なので言えない』と言っていた。今回、維新が“除名”をちらつかせた上で、『説明責任を果たす』と態度が変わった。態度が変わったこと自体はいいと思いますが、実際にどのような内容の説明がされ、維新がどう判断するのか、進退はその後になると思います」

今後、市長がどのような説明をするのか注目されます。

(関西テレビ「newsランナー」2024年12月5日放送)

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