衆院本会議で予算委員長に選出され起立する立憲民主党の安住淳氏(中央)=国会内で2024年11月13日午後1時5分、平田明浩撮影

 第216臨時国会が28日召集されました。与党が過半数割れした衆院選後、初めてとなる本格的な論戦が始まります。見どころの一つが来月5、6日に衆参で開かれる予算委員会。野党が予算委員長ポストを手中にしたことで、何が変わるのか。Q&A形式で解説します。【飼手勇介】

 Q 衆院の予算委員長に野党の国会議員が就任したと聞いたけど、珍しいの?

 A 立憲民主党の安住淳氏(62)が就任しました。野党議員の就任は1994年以来30年ぶりです。石破茂政権と同じく、衆院で過半数を持たない「少数与党」だった羽田孜(はた・つとむ)政権下では社会党の山口鶴男氏が務めました。

 Q 野党の予算委員長だと何が変わるの?

 A 予算委員会では、あらゆる政策や政権の不祥事について質疑が行われます。首相と全ての閣僚が出席してテレビ中継されることもあり、野党にとっては政権追及の「主戦場」となります。「行司役」である委員長が、首相らの答弁は不十分だと判断すれば議事を止めることもできます。与党の主導で採決を強行するような強引な国会運営はできません。予算案が成立しなければ政権運営は行き詰まるため、政府側は丁寧に答弁を尽くすことが求められます。

 Q 与党はなぜ委員長のポストを譲ったの?

 A 衆院選で大敗し、確保できるポスト数が限られる中、自民党は議院運営委員長のポストを優先しました。議運委員長は議長を補佐し、どの法案をいつ審議入りさせるかに関わる、いわば国会運営の「司令塔」です。その役割を守るため、予算委員長は野党に譲りました。

 Q 緊張感のある国会になりそうだね。

 A 30年前の羽田政権では、「政治とカネ」の問題を巡って前首相だった細川護熙氏への証人喚問が、野党各党の合意で行われました。立憲の野田佳彦代表は自民派閥の裏金事件を念頭に「証人喚問を実施する可能性もある」とけん制しています。安住氏は「恣意的(しいてき)に権力を使うことはない」と語っていますが、長く国会対策委員長として与野党攻防の指揮をとったベテランだけに、与党の警戒感は高まっています。党利党略にとらわれない充実した国会審議を期待したいですね。

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