第50回衆院選で、自民・公明両党の獲得議席は計215議席にとどまり、過半数(233議席)を大きく割り込んだ。この結果、衆院の過半数を制する勢力が存在しなくなり、日本版「ハングパーラメント(宙づり議会)」が出現。与野党は28日から政権枠組みの駆け引きに動き出した。衆院選後30日以内となる11月26日までに特別国会を開き、新首相を選出することが憲法に定められているからだ。
有効投票の過半数を得た議員が首相に指名されるが、1回目の投票で過半数を得た議員がいない場合は、上位2人の決選投票となる。
石破茂首相はこの日、まずは国会内で公明党の石井啓一代表との党首会談に臨んだ。首相は会談で「公明党さんに非常にご迷惑をおかけした」と大敗について陳謝。その上で、新たな政策合意に署名した。
首相はその後の記者会見で「政治改革や経済対策などの課題に、先頭に立ち取り組む」と述べ、改めて続投に意欲を示した。今後の政権運営の枠組みについて問われると「(衆院選で)議席を大きく伸ばされた党がどのような主張をしたか、よくよく認識をしていかなければならない。政策について、私どもの足らざるところを積極的に取り入れていきたい」と述べた。躍進した国民民主党に秋波を送ったとみられる。
一方、国民民主の玉木雄一郎代表は28日、記者団に自公連立入りについて改めて否定し、「政策本位でいい政策であれば協力するし、ダメなものはダメと言っていく」と語った。自民ベテランは「国民民主は大きな議席を得た以上、簡単に与党側につく姿は国民に見せられない。引っ張るだけ引っ張るだろう」と交渉の難航を予測する。
一方、最大野党の立憲民主党、野田佳彦代表も50議席増の148議席を獲得した追い風を受け、「首相指名を取りにいくのが当然だ」と意欲を示す。野田氏は28日、衆院選の結果を受けて「自民が自公以外に声かけをしてくる可能性は十分ある。注意深く見ながら、逆にこちらのチームをどう作っていくか心を砕いていきたい」と述べ、多数派の構築を模索する考えを示した。
自公、立憲いずれも他党と政権合意できなければ、与党の議席が過半数に達しない「少数与党」に陥る可能性もある。その場合、政権が予算案・法案ごとに野党と合意を得る「パーシャル(部分)連合」となる可能性もある。【高橋祐貴、内田帆ノ佳】
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