沢村賞はその年に最も活躍した先発完投型のピッチャーに贈られる賞です。
受賞者を決めるために7つの基準が設けられ、
▽15勝以上
▽防御率2.50以下
▽150個以上の奪三振
▽完投10試合以上
▽投球回数200イニング以上
▽25試合以上の登板
▽勝率6割以上となっています。
28日は沢村賞の選考委員会が都内で開かれ、終了後に堀内恒夫委員長など5人の選考委員が記者会見し選考過程を説明しました。
会見では7つのうち1つでも基準を満たした投手をリストアップして選考が進められたことが説明され、最終的に、
▽7つの基準のうち防御率、登板数、勝率、奪三振の4つを満たしている巨人の戸郷翔征投手と、
▽防御率、登板数、勝率の3つを満たしているソフトバンクの有原航平投手の2人が残ったということです。
しかし、選考委員の間で一本化することができず、今回は該当者なしになったということです。
沢村賞が該当者なしになるのは2019年以来、5年ぶり6回目です。
記者会見の開始が予定よりおよそ45分遅れるなど選考は難航を極めたということで、堀内委員長は「“帯に短したすきに長し”こっちが立てば向こうが立たないという非常に難しい選考だった。いろいろな意見が出たが一本化することができなかった」と説明しました。
そのうえで「残念だが投手優位の時代にもう少し成績をあげてほしかった。防御率1点台のピッチャーが6人いるのに15勝がトップということでもう少し勝ってもいいのではないかと思う。無理して選ぶ必要はないと思った」と数字的な物足りなさも該当者なしの一因になったと明かしました。
堀内委員長 選考基準の見直しについて含みも
会見のなかで堀内委員長は今後の選考基準の見直しについても触れました。
現在、プロ野球では先発、中継ぎ、抑えなどとピッチャーの役割の分業化が進んでいて、沢村賞の選考基準になっている▽完投10試合以上や▽投球回数200イニング以上は高いハードルになっています。
実際に今シーズン、
▽最多の完投数は日本ハムの伊藤大海投手とロッテの小島和哉投手の5回
▽投球回数はDeNAの東克樹投手の183イニングとなっていて
基準と大きな開きが出ています。
選考基準の見直しについて問われた堀内委員長は「本当は変えたくないが、数字が出てこないとなると完投数や投球回数は少し考えていかなくてはいけない。これだけ分業制になってくるとなかなか完投は難しい。時代に即したものにしていったほうが選手が基準に乗りやすいと思う。時期的にまだ違うと思うが、そういう話し合いになる可能性はある」と今後の見直しについても含みを持たせました。
一方で「この賞は最優秀投手ではなく、沢村栄治さんの賞だ。ある程度の格式、威厳を持って選考させていただきたい」と話し、大リーグのサイ・ヤング賞よりも古い1947年に設けられた歴史ある賞の伝統的な基準を尊重していく考えも示しました。
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