(14日、第106回全国高校野球選手権大会2回戦 健大高崎1ー2智弁学園)

 エースを欠く春の覇者、健大高崎が分厚い投手層を見せつけた。この日の先発は、今夏初めて公式戦のマウンドに立った3年生左腕、杉山優哉だった。

 最速140キロの威力ある直球と曲がり幅の大きいスライダーを軸に、思い切り腕を振る。先取点をもらった直後の二回に同点打を浴びたが、続く2死一、二塁のピンチでは1回戦で5安打の1番佐坂悠登(はると)を138キロ直球で中飛に仕留めた。勝ち越し点を許さず、3回50球1失点の粘投だった。

 今春の選抜で初優勝を遂げたが、チームは2015年以来夏の甲子園からは遠ざかっていた。選抜はスライダーが武器の左腕、佐藤龍月(りゅうが)と、150キロ右腕の石垣元気の2年生の「ダブルエース」が全5試合を投げ抜いた。2人に次ぐ投手の不在が課題だった。戦力の底上げを図ろうと、春季大会では2人をあえてベンチから外す荒療治に踏み切った。

 群馬大会でベンチ入りを逃した杉山は、その裏で行われた紅白戦で好投。甲子園直前、佐藤の左ひじの負傷を受け、今春に続き大舞台での背番号をつかんだ。「メンバー外の3年生のためにも、絶対抑えたかった」。青柳博文監督の「杉山がしっかり投げないと、上では勝てない」という期待に応えた。

 投手戦の末、智弁学園に敗れ、春夏連覇の夢は2回戦でついえた。「あいつらなら、成し遂げられる」。悲願の夏の優勝は、後輩たちに託す。(清水優志)

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