レスリング女子53キロ級準決勝で勝利し、笑顔でユニホームの日の丸を指し示す藤波朱理=シャンドマルス・アリーナで2024年8月7日、平川義之撮影

レスリング 女子53キロ級準決勝(7日、シャンドマルス・アリーナ)

藤波朱理(あかり)選手(20)=日体大 決勝進出(銀メダル以上確定)

 初出場の20歳とは思えない、風格と勝ちっぷりだ。藤波朱理選手は準決勝で対戦した東京五輪銀メダリストの中国選手を寄せ付けず10―0のテクニカルスペリオリティー勝ち。中学2年から続く連勝記録を136に伸ばし、決勝に向かう。

 初めての五輪に向けて調整を進める中、不測の事態が起きたのは今年3月だった。練習で左肘を痛めて手術をした。「その瞬間は、肘の痛みも心の痛みも、過去最大だった」

 しかし、五輪本番まで時間もあることから、焦らずに前を向き、食事面など細かい部分の見直しも図った。実戦から離れたことも「普段から試合に近いような練習ができているので大丈夫」と意に介さなかった。

 パリのマットに上がった藤波選手の左肘には、サポーターがしっかり巻かれていた。決してケガが完治していないわけではない。「痛み予防というよりお守りみたいな感覚。これをつけてずっと練習してきたので」。日ごろからルーティンを大切にする藤波選手らしいこだわりが垣間見えた。

 「パリは自分が金メダルを取る舞台」と早くから五輪を心待ちにしてきた。冷蔵庫には母と作ったお手製の日めくりカレンダー。100日前からカウントダウンしていき、決勝の8日に「ゼロ」となる。「ワクワクとドキドキ。あと1試合に全てをかけてオリンピックチャンピオンになりたい」。最強を証明する舞台が整った。【パリ角田直哉】

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