陸上男子400メートルリレー予選1組、スタートを切る第1走者のサニブラウン・ハキーム=フランス競技場で2024年8月8日、中川祐一撮影

陸上 男子400メートルリレー予選(8日・フランス競技場)

日本=38秒06(1組4着、決勝進出)

 2大会ぶりのメダル獲得へ、日本がその挑戦権を手にするために選んだ勝負手は「1走・サニブラウン」だった。個人種目でスタートに進化を見せているエースの爆発力にかけたチームは着順での進出こそ逃したが、タイムで拾われて決勝に駒を進めた。

 フレッド・カーリー、ラモントマルチェル・ヤコブスの男子100メートルの世界大会優勝経験者を擁する米国、イタリアと同組。4日の100メートル準決勝から中3日で臨んだサニブラウンは「アップまでは(体が)ガチガチだったけど、動いたは動いた」。このレーンでトップクラスの走りで2走・柳田に渡した。

 「すんなり(サニブラウンからバトンを)もらえなかった」と、柳田は受け渡し区間でややもたついた場面を苦笑交じりに振り返ったが、致命傷にはならず。3走のスペシャリスト・桐生祥秀、4走・上山紘輝も粘りを見せた。

 本来であれば勝負どころの4走を担うサニブラウンの1走起用は、パリ五輪予選を兼ねた5月の世界リレー大会(バハマ)で試し、好感触を得ていた。大黒柱に先陣を切らせるのには、リレー代表を長く率いる日本陸連の土江寛裕・短距離ディレクターの狙いがあった。大会前にはこう語っている。

 「(バトンを)もらうというのは何回も練習しないといけないが、(バトンを渡すのみの)1走はストレスが小さくなる」

 もともとは個人種目での負担軽減のための策だったが、リレーにおいても翌日の決勝で勝負をかけるためにサニブラウンには少しでも走りやすい状況を作る必要があった。

 「めちゃくちゃ気楽っすね」

 予選後、サニブラウンは冗談交じりに振り返った。今大会の100メートル王者、ノア・ライルズ抜きでも全体でトップ通過した米国は依然脅威だ。それでも、「決勝はみんなこれで体はほぐれて、もっといい走りをしてもらえる」と他のメンバーを気遣いつつ、自然体で表彰台を見据えた。【パリ岩壁峻】

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