2年ぶりに夏の甲子園に戻ってきた京都国際には、「貢献度はチーム一」と評される「イチオシ」マネジャーがいる。同校初の専従マネジャー、大山遥飛(はるき)さん(3年)。多岐にわたる役割を一人で果たしてきた「ご褒美」を、甲子園練習でプレゼントされた。
普段の練習では、ノックの補助や道具の準備、来客への対応などに駆け回り、60人の部員たちを裏側から支える。硬式野球部に入部した当初から3年間、一人でその業務を担ってきた。
「グラウンド整備やお茶タンクの用意など、人が嫌がることを率先してやる。世話好きで、上級生だけでなく下級生のためにもしっかり仕事をしている。うまくチームをまとめてくれて、とても助かっている」。大山マネジャーが献身的なサポートをする姿に、小牧憲継監督も目を細める。
中学でマネジャーに転向
滋賀県出身で、小学校3年生の頃に野球を始めた。中学時代にはクラブチームに入り、主に外野手として活躍した。奥井颯大選手(3年)や石田煌飛(きらと)選手(3年)は当時からのチームメートだ。
転機が訪れたのは中学3年の頃。クラブチームの監督に勧められ、マネジャーに転向した。その後、仕事ぶりを見た京都国際から「来るか」と声を掛けられたこともあり、進学を決めた。
同校ではこれまで、けがなどで練習に参加できなくなった部員がマネジャーを務めることはあったが、最初から専従マネジャーとして入部したのは初めて。マネジャーとしての先輩がおらず、「不安はあった」。ただ「とにかく選手が気持ちよくプレーできるように」という思いで続けてきた。
全校生徒138人のうち、男子が68人。うち61人を野球部員が占める。部員は全員、学校敷地内にある寮で寝食を共にしている。大山マネジャーは「縦も横も関係なく、仲が良いのがチームの特徴」と明かす。
主将も「イチオシ」
練習外の時間にもよく話す間柄という藤本陽毅(はるき)主将(3年)は、大会前に実施された出場チーム対象のアンケートで、イチオシ部員として選手の名前ではなく大山マネジャーを挙げた。藤本主将は「頼む前に動いてくれる。道具や試合準備など、気づいたときにはもうできている。チームに一番貢献してくれた存在。本当に感謝している」とその理由を語る。
2日に行われた甲子園練習。小牧監督から「3年間のご褒美」として、ノッカーを任された。大山マネジャーは「同級生とノックできてとてもうれしかった」と話した。
チームの目標は、3年前のベスト4を超えること。毎日の練習で「選手がどんどんレベルアップしていく」姿をそばで見てきた。「連係プレーが上達している」と分析する。試合はアルプス席から応援。「ここからでも、チームの勝利のために良い雰囲気をつくりたい」。その思いを込めた1回戦、チームは札幌日大に勝利。的確なサポートと熱いエールで夢舞台に挑んだ。【日高沙妃】
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