目次

  • 「2部制」がスタート どんな動きが?

  • 「2部制」戦った選手たちは?

「2部制」がスタート どんな動きが?

夏の全国高校野球では、これまで熱中症の症状を訴える選手が出るなどして、暑さへの対策が課題となっています。7日開幕した大会では気温が上がる時間帯を避けて午前と夕方に分けて試合を行う2部制が実施されました。

大会1日目の7日は、開会式後の午前10時すぎに始まった第1試合の佐賀の有田工業と滋賀学園の試合が午後0時半すぎに終わりました。

甲子園球場の大型ビジョンや場内アナウンスで「『夕方の部』の入場券をお持ちの方もご退場くださいますようお願いします」と呼びかけられ、すべての観客が球場の外に出ました。

甲子園球場は観客が誰一人いなくなった一方で、隣接する甲子園歴史館や周辺の商業施設には多くの人が詰めかけ、食事をしたり休息を取ったりしていました。

球場は、およそ2時間半後の午後3時に再び開門し、予定どおり午後4時に第2試合の香川の英明高校と群馬の高崎健康福祉大高崎高校の試合が始まりました。

第3試合はナイトゲームで行われました。

甲子園球場がある兵庫県は7日も熱中症警戒アラートが発表され、神戸市で午後4時までに最高気温34.2度を観測しました。

2部制は9日までで、午前8時から続けて2試合を行ったあと、午後5時から第3試合が予定されています。

「2部制」戦った選手たちは?

「2部制」が実施され、夕方から試合が始まった最初の試合に臨んだ群馬の高崎健康福祉大高崎高校と香川の英明高校の選手たちからは、さまざまな声が聞かれました。

健大高崎の石垣元気投手は「試合までの時間でリラックスできました。試合も涼しくて投げやすかったです。2部制はいいなと思いました」と振り返りました。

一方、キャプテンの箱山遥人選手は「1回休んでから気持ちのスイッチを入れるのはあまり経験したことがなかったので難しかったです。指導者から『気持ちを入れるタイミングを間違えないようにしよう』と言われていました」と明かしました。

英明のエース、清家準投手はあいた時間の過ごし方について「開会式のあとホテルに戻り、チームメートと同じ部屋で一緒に寝たり、昼ご飯を食べたりしてリラックスしていました。バスに乗ったときに緊張を感じ甲子園球場に入った瞬間にピリッとしました」と話しました。

試合中の暑さについては「緊張してあまり覚えていないです」と振り返っていました。

◆「2部制」実施で甲子園球場では

「2部制」の実施で、気温が上がる時間帯の甲子園球場の場内は、どのような様子だったのか。

時系列でまとめました。

【12時34分:第1試合終了】
球場のビジョンや場内アナウンスで「ご来場くださいましてありがとうございました。『夕方の部』の入場券をお持ちの方も、ご退場くださいますようお願いします」と呼びかけられる。

【12時44分:両チームの選手が退場】
係員が観客に退場を促し始める。

【12時55分:観客の退場が完了】
係員が観客席の清掃を行う。

【15時:サイレンと同時に第2試合に向けて観客が入場】

【15時11分】
第2試合に出場する香川の英明高校と、群馬の高崎健康福祉大高崎高校の選手たちがグラウンドで練習を始める。

【16時】
第2試合始まる。

球場に隣接「甲子園歴史館」には多くの観客

甲子園球場に隣接する「甲子園歴史館」には、第1試合と第2試合の間に多くの観客が訪れました。「甲子園歴史館」には開場から100周年を迎えた甲子園球場の歴史をはじめ、高校野球やプロ野球・阪神の歴史を物語る資料が数多く展示されています。

2部制が初めて実施された7日は、第1試合が終了してから再び開門された午後3時までの間に大会序盤の時期では異例の多さのおよそ1100人が詰めかけ、涼しい建物の中で展示物を眺めたり、写真を撮ったりしていました。

京都府から訪れた40代の男性は「第1試合は暑かったです。ここは涼しいので来ました。これから食事をしてビールでも飲もうと思います。選手も暑さで大変だと思うので2部制の実施はいいと思います」と話しました。

また、千葉県から訪れた20代の男性は「ほかに行くところがなく、案内があったので歴史館に来ました。ファンとしては正直、連続で見たい気持ちもありますが、暑さのピークを過ぎた午後4時から行うことはいい」と話していました。

千葉県から訪れた30代の女性は「昔よりもめちゃくちゃ暑くなっています。ファンとしてもずっと暑いと集中できないので暑さが和らいだ時間に見られたほうが試合内容も頭に入ってくると思います」と話していました。

球場近くの商業施設ではファンたちでにぎわう

甲子園球場近くの商業施設には、第1試合が終了したあと試合を観戦していたとみられる多くの人たちが訪れました。このうち飲食店が立ち並ぶフードコートでは、昼食の時間帯とも重なり多くの人が訪れました。

20組ほどの行列ができた店もあり、試合を観戦していた高校野球のファンたちでにぎわいました。

商業施設によりますと、2部制の導入で利用客が増えると見込んで、7日から人の出はいりが多い、入り口付近のエアコンの設定温度をほかのフロアより低めに設定したり、大きな扇風機を設置した休憩スペースを新たに設けたりするなどして、快適な環境作りに取り組んでいるということです。

広島県から訪れた60代の男性は「昼間の時間が空くのは体が楽なのでいいと思います。次の試合まで商業施設の中で食事をするなどして過ごす予定です」と話し、福岡県から訪れた20代の女性は「年々、気温が高くなっているので選手たちが熱中症にならないようにするためにはこうした対策も必要だと思います」と話していました。

商業施設のフードコートには列も

甲子園球場から歩いて5分ほどのところにある商業施設のフードコートには、午後1時ごろいたるところで列ができていました。この施設では全国高校野球の期間中、昼の時間帯に飲食店で働く従業員の数を例年増やしているということです。

神戸市から訪れた40代の男性は「少年野球チームの子どもたちと来ましたが、子どもの体調のことも考えるとよい仕組みだと思います。選手にとっても、いちばん暑い時間帯の試合を避けることができるのでよいと思います」と話し、静岡県から訪れた10代の女性は「空き時間ができるのでその間の過ごし方を悩みますが、選手は熱中症を避けて万全な状態で試合ができるのでいいと思います」と話していました。

鹿児島市の高校の野球部に所属する生徒は「涼しい時間帯に試合ができたほうがいいパフォーマンスにつながると思うのでいいと思います。見に来ている立場としては早く次の試合を見たいという気持ちがあります」と話していました。

【豆知識】「2部制」とは?

甲子園球場で行われる夏の全国高校野球では熱中症の症状を訴える選手も出るなどして暑さへの対応が課題となっていて、ことしは新たな暑さ対策として、気温が上がる時間帯を避けて午前と夕方に分けて試合を行う「2部制」が7日の開幕から9日までの3日間にわたって導入されます。

この3日間はそれぞれ1回戦3試合が予定され、大会1日目の第1試合は開会式のあと午前10時すぎに始まりました。

第1試合が終了したあと、いったん観客も退場させた上で夕方の午後4時から第2試合が行われその後、第3試合が行われます。

大会2日目と大会3日目は、午前8時から続けて2試合を行い、第3試合は夕方午後5時から行われる予定です。

【豆知識】「クーリングタイム」とは?

「クーリングタイム」は厳しい暑さの中で行われる夏の全国高校野球で去年の大会から導入され、選手たちは5回終了後に10分間、ベンチ裏に移動し、涼しいスペースで休息を取ります。原則、午後4時以降に始まる試合を除いてすべての試合に適用されます。

去年は複数の選手が「クーリングタイム」のあとに熱中症の症状が出て交代するケースがあり、日本高校野球連盟は体を冷やしている時も軽い運動をすることなどを呼びかけました。

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