パリ・オリンピック第8日は2日、当地のラデファンス・アリーナで競泳男子200メートル個人メドレー決勝が行われ、瀬戸大也選手(30)=CHARIS=は1分57秒21で7位だった。
2016年リオデジャネイロ五輪以来のメダル獲得とはならなかった。ただ、泳ぎ終えた瀬戸選手の表情はすがすがしかった。
「準決勝の方が余力があったし、最後のレースで思うような結果を残せなくて残念だけど、大会を通して全力で戦えた」
前半100メートルで力みが出た。得意の平泳ぎでも先を行かれ、最後の自由形はもうひと伸びが足りなかった。それでも「この(21年東京五輪からの)3年間はいろいろ環境を変えながらやって来た中で、全力でやって来られたし、後悔はない」と振り返った。
前回の東京五輪は個人メドレー2種目の金メダル候補と目されていた。19年末~20年前半に自己ベストを連発するなど、順調に進んできたはずだった。
だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会は延期に。自身の女性問題で一時スポンサーを失う事態にも直面した。21年に開催された東京五輪は、400メートル個人メドレーで予選落ちした。
元々、大舞台での勝負強さが瀬戸選手の魅力の一つ。その後は国際大会の表彰台には上がり続けたが、スイッチが入りきらない状態が続いた。
「試合が『作業』みたいな感じ。引き出しがありすぎて、落ち着きすぎちゃっている自分がいる」
東京五輪の延期以降は、オリンピックそのものに対しても「ネガティブな気持ち」が芽生えた。3月のパリ五輪代表選考会で400メートル個人メドレーの代表入りを逃した直後は「ずっと世界で戦ってきて、(世界選手権で)金メダルを取ってきて、かなりやり尽くした感はあるよな」と、燃え尽きかけたという。
それでも、200メートルで出場権をつかんだことで「オリンピックで結果を出すチャンスを勝ち取れたことに感謝して、自分の夢の舞台を楽しんでいきたい」という思いがわいてきた。
最終的に追加でエントリーされた400メートルは、予選、決勝ともに前半から果敢に攻めた。世界のライバルたちに勝負を挑むのと同時に、これまでのモヤモヤした自分に踏ん切りを付けるようだった。
「久しぶりに積極的にいけてすっきりしている。ようやく自分らしいレースができた」と明るい表情で語った。
今後については「(28年)ロサンゼルス五輪までは相当な覚悟がないと続けられない。落ち着いてキャリアを考えたい」。最後まですがすがしく、取材エリアを引き揚げた。【パリ深野麟之介】
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