パリ・オリンピック第8日は2日、柔道男子100キロ超級があり、地元フランスのテディ・リネールが2大会ぶりの金メダルを獲得した。
場内アナウンスでその名がコールされると、三色旗を手にするなどした観客が一斉に「リネール!」と声をそろえた。応援のステップを踏むたび、仮設のシャンドマルス・アリーナが揺れた――。超ド級の応援に包まれた決勝で、対戦相手をきれいに畳にたたきつけたとあれば、会場はもう熱狂の渦だ。
金メダル量産を期待された開催国フランスは、この日まで金メダルがゼロ。人気競技の象徴的存在が個人種目の大トリでようやく頂点に立つという出来過ぎのストーリーを紡いだテディ・リネールは「こんなふうになるなんて、思ってもみなかった。幸せだよ」。ヒーローはこの日、正真正銘の伝説になった。
2024年世界選手権優勝の俊英、金民宗(キムミンジョン)(韓国)との決勝。試合終盤まで決め手を欠く展開が続いたが、試合残り16秒でお手本のような払い腰を見舞った。ジョージア選手との準決勝で試合後に小競り合いになる一幕もあったが、終わってみれば強さの方が際立った。
これまで五輪2回、世界選手権9回の優勝を誇る史上屈指の柔道家は、今回の五輪開会式で聖火への点火を担った。大役に「それはもう極上の喜びだった」。その1週間後にさらなる歓喜が訪れ「完璧なオリンピックになった」と自らを誇った。
東京五輪は銅メダルで3連覇こそ逃したが、地元での「奪冠」で、五輪の個人優勝回数は男子60キロ級で3連覇した野村忠宏さんと並び最多タイになった。
5歳で柔道を始めた地・パリでさらなる成功を収めた。柔道の世界で上り詰めることを、リネールは「美しい冒険」と表現した。35歳はさらなる戦う目的を探し出そうとしている。【パリ岩壁峻】
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