(23日、第106回全国高校野球選手権岩手大会準決勝、盛岡一5―12盛岡大付)

 15年ぶりの決勝進出をめざした盛岡一は、私学の強豪、盛岡大付と対戦し、七回コールドで敗れた。3年連続のベスト4進出だったが、準決勝の壁は高かった。

 1点を追う三回、盛岡一は主軸の3連打などで逆転し、在校生や卒業生が駆けつけたスタンドはわき上がった。4点を追う七回にも安田圭吾(2年)、安斎龍紀(3年)の連打、田中次郎(2年)の適時打で2点差に迫った。失策もあり、七回に突き放されたが、安打数では互角だった。

 「大丈夫。ここを乗り越えたらチャンスがあるから、粘っていこう」

 六回、ピンチの場面で主将の安斎捕手はマウンドの2年生エース、川崎煌成に笑顔で声をかけた。「打たれて焦っていたが、安斎さんの穏やかな表情に救われた」

 ベンチ入りの半数以上が1、2年生の若いチーム。安斎や副将の高橋汰月(3年)が中心となってもり立てた。「試合を重ねて本当に2年生がたくましくなった。2年に負担をかけて申しわけなかった」と安斎。

 今大会、安斎、高橋は打線でもチームをリードした。この日、安斎は2安打を放ち、大会の通算打率は4割を超えた。安斎は「打てるキャラではなかったが、気持ちで打ったヒットが多かった。結果を恐れず、バッティングに集中できた。楽しめた」。高橋も勝負強さを発揮し、三回に勝ち越し打を放った。通算打点はチームトップの6点。「勝ち続けてチームの結束力が高まった。今日は来た球に食らい付いていくことだけを考えていた」

 川又範明監督は「監督からの要求も厳しく安斎は悩みも多かったと思う。何かあれば、安斎に何とかしてくれと頼み、受け止めてくれた。素晴らしいキャプテンだった。後輩たちが打倒私学の思いを引き継いでくれたら」と話した。(佐藤善一)

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