(19日、全国高校野球選手権秋田大会、準決勝、秋田工0―8金足農)
新しい変化球を「見つけた」のは、春の県大会の最中だった。
秋田工の檜森康佑投手(3年)は練習中のキャッチボールのとき、ツーシームを試してみると、手応えがあったという。
169センチ、54キロという細身のエース。「意識してたくさん食べました。1月に60キロまでいったけど、走りの練習が増えて、また減ってしまって」
直球は130キロに届かない。一方で変化球は多彩だ。「コントロールで勝負してきました」。3種類のスライダーにカットボール、シンカー、チェンジアップ。それにツーシームが加わり、まさに七色の変化球――。
そのツーシームの効果が表れたのは、一回だった。安打や2死四球で招いた1死満塁のピンチ。2球で素早く追い込んで、ツーシーム。注文通りに二ゴロを打たせて併殺に取った。
5回を投げてマウンドを譲った。「自分のミスもあった。もう少しやれると思った」と残念な気持ちはある。けれど、あのツーシームを自分でつかんだときは「遊び感覚で楽しくやれた」。工夫して成長できた実感は残った。(隈部康弘)
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