第95回都市対抗野球大会が19日、東京ドームで開幕する。4年連続4回目の出場となる北海道ガス硬式野球部は大会第5日(23日)の第3試合で東京第1代表のNTT東日本と対戦。チームの勝利へ何が必要か探った。
6月1日に行われた都市対抗道地区1次予選の札幌ホーネッツ戦。先発した北海道ガス硬式野球部の4年目左腕・海老原丞はチェンジアップを武器に、昨年の初戦で敗れた難敵の相手打線を翻弄(ほんろう)した。七回まで被安打4で無失点。八回1死から1点を失ったところでマウンドを降りたが、計7三振を奪う好投で、自身初の都市対抗予選白星を挙げた。
そして、8日後。海老原は勝てば都市対抗出場が決まる道地区2次予選のWEEDしらおい戦でもマウンドを任される。昨年は2次予選で起用されなかっただけに、今年こそチームに貢献したいという強い気持ちを持っていた。
三回に先制を許したが、我慢の投球を続けた。チームは七回に追いつき、八回に勝ち越しに成功。2―1で迎えた九回に連打を浴びて降板したが、大城祐樹、武笠達也の継投で切り抜け、チームは4連覇を決めた。海老原は被安打7、11奪三振の好投だった。
昨春就任した工藤賢二監督は「北海道ガスの投手はあまりピッチングをしていなかった。やはり投手は投げてなんぼ」とこの冬に投手陣に投げ込みを求めた。「武笠と海老原は冬の成果が一番出た投手だと思う」と評価する。
武笠は2次予選全3試合で抑えとして登板し、海老原はエースの大城、次期エースとして期待される村上大芽に続く「先発の3本柱」(工藤監督)に成長した。海老原は「前は速い球ばかりを投げようとしていたけど、結局はコントロールが重要だと気付いた」。冬場に磨いた制球力が今季、大切な試合で生きている。
エース争い激しく
先発3本柱の村上は、都市対抗道地区2次予選のJR北海道硬式野球クラブ戦やJABA北海道大会の初戦・七十七銀行戦で好投し、いずれも勝利投手となっている。村上はJR北海道ク戦後、「(投手陣は)今までずっと大城さんが引っ張ってきて、若い投手が育っていなかった。自分がエースとして引っ張るという意識が去年くらいから芽生えて、それがきょうの良い投球につながった」と自己分析した。
一方、追われる大城も「エースの座を取られないように、村上を意識して投げている。村上は去年の秋くらいから結果を出し続けているので、結果ではね返せるようにしたい」。競争が激しくなる中で、相乗効果も生まれている。
北海道ガスの選手は計23人で、このうち投手は8人。だが、都市対抗本大会の初戦を戦うNTT東日本(東京都)は投手だけで15人を擁している。工藤監督は「社会人野球の投手は分業ではない。どこでも投げられるようになってほしい」と述べ、先発3本柱にも中継ぎや抑えで投げられるようになることを期待する。
村上がホーネッツ戦の救援でもたつくなど、まだまだ監督の期待通りになっていない面もある。ただ、1989年の第60回大会で久慈賞(敢闘賞)を獲得した渡部勝美投手コーチは「過去3回の全国大会でいろいろな投手を見て、彼ら自身が自分に必要なことを分かるようになり、こちらが求めていることも理解できるようになってきた」と指摘。経験を重ね、投手陣は着実にレベルアップしている。【高山純二】
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