JABA北海道大会の明治安田戦で先発した北海道ガス硬式野球部の海老原丞=岩見沢市営球場で2024年6月19日、高山純二撮影

 第95回都市対抗野球大会が19日、東京ドームで開幕する。4年連続4回目の出場となる北海道ガス硬式野球部は大会第5日(23日)の第3試合で東京第1代表のNTT東日本と対戦。チームの勝利へ何が必要か探った。

 6月1日に行われた都市対抗道地区1次予選の札幌ホーネッツ戦。先発した北海道ガス硬式野球部の4年目左腕・海老原丞はチェンジアップを武器に、昨年の初戦で敗れた難敵の相手打線を翻弄(ほんろう)した。七回まで被安打4で無失点。八回1死から1点を失ったところでマウンドを降りたが、計7三振を奪う好投で、自身初の都市対抗予選白星を挙げた。

 そして、8日後。海老原は勝てば都市対抗出場が決まる道地区2次予選のWEEDしらおい戦でもマウンドを任される。昨年は2次予選で起用されなかっただけに、今年こそチームに貢献したいという強い気持ちを持っていた。

 三回に先制を許したが、我慢の投球を続けた。チームは七回に追いつき、八回に勝ち越しに成功。2―1で迎えた九回に連打を浴びて降板したが、大城祐樹、武笠達也の継投で切り抜け、チームは4連覇を決めた。海老原は被安打7、11奪三振の好投だった。

 昨春就任した工藤賢二監督は「北海道ガスの投手はあまりピッチングをしていなかった。やはり投手は投げてなんぼ」とこの冬に投手陣に投げ込みを求めた。「武笠と海老原は冬の成果が一番出た投手だと思う」と評価する。

2次予選投手成績

 武笠は2次予選全3試合で抑えとして登板し、海老原はエースの大城、次期エースとして期待される村上大芽に続く「先発の3本柱」(工藤監督)に成長した。海老原は「前は速い球ばかりを投げようとしていたけど、結局はコントロールが重要だと気付いた」。冬場に磨いた制球力が今季、大切な試合で生きている。

エース争い激しく

 先発3本柱の村上は、都市対抗道地区2次予選のJR北海道硬式野球クラブ戦やJABA北海道大会の初戦・七十七銀行戦で好投し、いずれも勝利投手となっている。村上はJR北海道ク戦後、「(投手陣は)今までずっと大城さんが引っ張ってきて、若い投手が育っていなかった。自分がエースとして引っ張るという意識が去年くらいから芽生えて、それがきょうの良い投球につながった」と自己分析した。

 一方、追われる大城も「エースの座を取られないように、村上を意識して投げている。村上は去年の秋くらいから結果を出し続けているので、結果ではね返せるようにしたい」。競争が激しくなる中で、相乗効果も生まれている。

 北海道ガスの選手は計23人で、このうち投手は8人。だが、都市対抗本大会の初戦を戦うNTT東日本(東京都)は投手だけで15人を擁している。工藤監督は「社会人野球の投手は分業ではない。どこでも投げられるようになってほしい」と述べ、先発3本柱にも中継ぎや抑えで投げられるようになることを期待する。

 村上がホーネッツ戦の救援でもたつくなど、まだまだ監督の期待通りになっていない面もある。ただ、1989年の第60回大会で久慈賞(敢闘賞)を獲得した渡部勝美投手コーチは「過去3回の全国大会でいろいろな投手を見て、彼ら自身が自分に必要なことを分かるようになり、こちらが求めていることも理解できるようになってきた」と指摘。経験を重ね、投手陣は着実にレベルアップしている。【高山純二】

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