19日開幕の第95回都市対抗野球大会(毎日新聞社、日本野球連盟主催)に2年連続29回目の出場を決めた群馬県太田市・SUBARU(スバル)。原動力になったのは層の厚い投手陣だが、2次予選・北関東大会の第2代表決定戦で逆転サヨナラ勝ちした打線の底力も見逃せない。中でも際立つのが、新人でありながら4番打者として安定した打撃を見せる外山優希内野手(22)だ。若き4番はプレッシャーと戦いながら初の大舞台に挑む。
身長186センチ、体重97キロの恵まれた体格を生かしたパンチ力のある打撃が持ち味。冨村優希監督も「思い切りがあり、結果も残している。チームに勢いをつけてくれる存在だ」と実力を認める。
兵庫県出身。開星高(島根)では3年から4番を打ってチームを引っ張った。夏の島根大会決勝は延長十三回の末、石見智翠館に逆転サヨナラ負けを喫して甲子園を逃した。
大学は専修大に進学。東都大学野球2部リーグでプレーし、3年秋から4番として連続出場を重ねた。4年秋には打率4割5厘を記録して首位打者賞に輝いた。
しかし、SUBARUに加入後はバットから快音が響かなかった。さらに同じ新人の秋山岳土(がくと)内野手(22)が攻撃の中心になっている姿を見ると、余計に焦りが募った。「社会人野球のピッチャーはレベルが高いし、このチームには代わりになる選手がいくらでもいる。自分の居場所はあるのか」。自信がなくなり、野球を楽しめなくなった。
転機は4月のJABA日立市長杯だった。NTT東日本戦に6番で先発出場。2打数2安打と存在感を見せつけた。「精神的に落ちるところまで落ちたので、割り切って打席に立てた。エース級の投手を打てて自信になった」。この頃にはチームで取り入れている体幹トレーニングの効果も表れたという。
勝負強さを買われて5月以降はほぼ4番に定着。都市対抗2次予選の第2代表決定戦では延長十回タイブレークで、劇的な勝利を呼び込む内野安打を放った。実は調子を取り戻してから周囲の期待が高まるのを感じ、2次予選は不安で「ずっと緊張していた」と話す。延長十回の場面も前打者が四球を選んで同点になり、気持ちが楽になったのが結果につながったと明かす。
次の舞台は東京ドーム。「今まで経験したことのない大勢の観客の中で野球をやるのは楽しみだが、怖さもある。自分がチャンスで打ち、チームが1試合でも多く勝って目標である優勝に近づければ」。結果を恐れず、新人らしいプレーでプレッシャーを乗り越えていくつもりだ。
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SUBARUは大会第3日の第1試合(21日午前10時開始予定)でJFE西日本(福山市・倉敷市)と対戦する。昨年と同一カードで、この時はSUBARUが2―0で零封勝ちした。両チームとも投手陣が安定しており、少ない好機を確実にものにできるかが勝敗の鍵を握る。【湯浅聖一】
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