(第106回全国高校野球選手権茨城大会2回戦 岩瀬日大3―1石岡一)

 同点の七回表2死二、三塁。三振を奪うと、マウンドの石岡一の先発・石塚晴樹(3年)は、捕手で弟の宏樹(1年)に笑顔を向けた。

 「弟のミスは、兄がカバーするもの」。この直前、宏樹がボールを後ろにそらしてピンチを広げていた。

 兄弟でバッテリーを組んだのは、この4月から。捕手も投手もできる晴樹を生かそうと、捕手には入学したばかりの宏樹に白羽の矢がたった。

 ふたりは小学校の頃から同じチームだったが、宏樹はもともと外野手。中学時代に捕手を経験したものの、兄弟でコンビを組む機会はなかった。

 今春の県大会では2試合、バッテリーで出場した。

 投球の組み立てやサインのミスなど、食い違うこともあった。その度に、グラウンドでも、自宅でも思いを素直にぶつけ合った。「兄弟だから本気になれた」

 三回、晴樹が死球で出した走者が盗塁を試みると、宏樹が二塁への好送球でアウトに仕留めた。兄弟で助け合い、7回まで岩瀬日大打線を4安打1失点に抑えた。

 八回からは晴樹が捕手に。先頭打者に許した左中間への二塁打が引き金になり、勝ち越された。

 試合後、「1試合でも長い夏にしてあげたかった」と目を赤くする宏樹の傍らで、晴樹は晴れやかな表情を浮かべた。「弟の成長を見られた。今度は大学で、社会人で野球をしたい」(古庄暢)

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