(15日、第106回全国高校野球選手権西東京大会3回戦 昭和第一学園7―1拝島)
昭和第一学園の野口滉太(こうた)(2年)の父・哲男(62)は対戦相手である拝島の責任教師。朝、「グラウンドでまた会おう」と言いあって家を出てきた。
これまで、父のチームと練習試合も含めて対戦したことはなかった。今夏の大会、互いに一勝すれば対戦が実現することに。最初は「まさか」と驚いたが、だんだん対戦が楽しみになった。
野口のモットーは、思いっきり戦うこと。ずっと野球を教えてきてくれた父からの教えだ。高校入学後、先頭打者を任されるようになったときも、言われてきた。「思いっきりやれ」
両校が初戦を突破して迎えた決戦の日、1番・三塁で起用された野口は第1打席、相手のミスで出塁し、その後先制のホームを踏んだ。その後、中越え適時打も放った。父の教え通り、どの打席も思いっきり打って、思いっきり走った。
三塁を守っているとき、近くに父が見えた。何度見ても慣れなかったが、「楽しかった」。それに、成長した姿を見せられたかなとも思った。
この日のグラウンドでは「敵」だった父だが、家に帰れば「大切で、大好きなお父さん」。拝島の勝利のためにベンチにいた父も、「よくやったって言ってやりたいな。家に帰ったらね」。=S&D昭島(西田有里)
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