(13日、第106回全国高校野球選手権滋賀大会2回戦 近江10―6彦根東)
学校所在地は同じ滋賀県彦根市。例年、甲子園をかけてしのぎを削る両校の試合は、ともに2桁安打の打撃戦になった。
その試合で、近江の2年生4番の一発が、最後まで効いた。
2―2の三回1死一塁、4番・市原悠希が右打席へ。1ストライクから、内角低めの130キロ直球を振り抜いた。打球は左翼ポール際へ。「(バットの)先っぽだったし、打った瞬間ファウルだと思った」。審判のファウルコールが聞こえるまでは……とダイヤモンドを走っていると、ガシャンとポールにぶつかる音が響いた。
勝ち越し2ランに「入ったんや」。高校3本目、公式戦では初の本塁打。三塁ベースを回るまでは実感がないようで、無表情だったが、本塁に戻ると笑顔になった。
昨夏の甲子園は1年生ながら背番号「19」をつけてベンチ入り。1回戦で代打出場したが、一飛に終わった。
今春の選抜大会は調子を落としてベンチを外れた。チームは延長戦の末に熊本国府に1―2でサヨナラ負けし、1回戦敗退。課題が打撃力なのは明白だった。
春季県大会後、多賀章仁監督から打撃フォームの修正を提案された。マンツーマンで指導を受け、打席で棒立ちの構えから、左足を上げ、力を伝えるスタイルに。「(力を)0から100にするフォーム。調子が上がりました」
反省もあった。彦根東に4点を取られた直後の五回の攻撃だ。無死一、二塁で犠打を失敗した。多賀監督は「(本塁打は)帳消しです」と辛口評価。本人も「自分もそう思います」と神妙な面持ちだった。
市原は「つなぎの4番なので。本塁打は一回忘れます」と気を引き締めた。=マイネット皇子山(大坂尚子)
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