(13日、第106回全国高校野球選手権東東京大会2回戦 錦城学園8―0大島・大島海洋国際・国際・駒場=7回コールド)

 錦城学園の一塁側スタンドで生徒に交じり、ひときわ大きな声を出していたのは後藤夢香教諭(28)だ。3年の担任を受け持ち、クラスには野球部の生徒もいる。グラウンドで見る教え子は、いつもより熱く、頼もしく見えた。

 学校の先生になるのが夢だった。学生時代は体操部。日体大の一つ下の後輩には、五輪メダリストの村上茉愛や白井健三がいた。

 卒業後に非常勤講師で錦城学園に入り、2020年から教諭に。いまはチアダンス部顧問を務める。応援される側の気持ちがわかるからこそ、グラウンドに立つ選手たちを応援でサポートできたら、と思う。

 初戦となる13日の朝、学校を出発する教え子に、こう声をかけた。

 「しっかりやってこい」

 「オス」

 交わした言葉は少なかったけれど、いい顔をしていた。きっとやってくれる。その予想通り、コールド勝ちで初戦を突破。次も応援できる。

 「高校野球は負けたら終わり。『この日』しかないっていうのは、体操やチアとは違う。少しでも長い夏になってほしい」

 長年の夢がかなって、今は毎日が楽しい。欲をいうなら、甲子園のアルプススタンドから、声援を送りたい。=神宮(野田枝里子)

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