(13日、全国高校野球選手権群馬大会2回戦、健大高崎18―1藤岡北)

 史上8校目の甲子園春夏連覇がかかる健大高崎が、盤石のスタートを切った。

  • 勝利にこだわることに意味がある 開成の監督が教え子に求めること

 打線に火をつけたのは4番の主将、箱山遥人(3年)だ。一回、内角球をたたき、左翼ポール際への先制3ランとした。「ホームランという結果より、思い通りの打球を打てたことが良かった」

 先発は選抜でベンチ外だった2年生左腕、下重賢慎。130キロ台後半の速球とツーシームをテンポ良く投げ込んでいく。一回に3者連続三振を記録すると、そこから大会記録を30年ぶりに更新する10連続三振を奪った。

 「難しい」と言われる夏の初戦を、難なく突破した。箱山は言う。「どんな展開でも手を抜かずにいこうと話していた。『今年は違う』と思われなければ夏は勝ち抜くことができない」

 チームが当初掲げたのは、2015年以来遠ざかる夏の甲子園に出場し、優勝すること。春の選抜を制した当時、箱山は「夏への過程で、やってきたことが間違っていなかったと証明できた」と語っていた。

 ただ、この日、春夏連覇への思いを問われると、「狙っていない」ときっぱりと言った。

 では、何をめざすのか。3年生の引退がかかる夏の大会を前に、箱山らチームが共通認識として持つのは、「この仲間と一日でも長く、健大のユニホームを着て野球がしたい」との思いなのだという。

 全国から集まる部員は96人。そのうち夏の大会でプレーする権利を持つのは背番号を手にした20人だけだ。8割弱の部員は様々な思いを抱えながら、スタンドで声を張り上げる。

 「メンバー外の思いを背負うことが力を発揮させてくれる。エネルギーになっている。この夏はそういうことを意識したい」

 箱山にとって甲子園出場も、春夏連覇さえも、「言葉の飾り」なのだと言う。

 「そもそもそんな甘い世界じゃない。本当に一勝一勝を積み重ねて、結果的に最後、一回も負けずに甲子園に残れればいい」=上毛新聞敷島(大宮慎次朗)

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