(12日、第106回全国高校野球選手権熊本大会、岱志3―2宇土)
「逆転のチャンスはもうないかも知れない。行ってやる」。1点を追う八回裏、岱志に1死二、三塁の好機が訪れた。1ボールから4番打者に出された「スクイズ。二塁走者も行けると判断すれば本塁を狙え」のサインを見て、二塁走者の三吉幸希選手(1年)は集中力を高めた。
何度も練習してきたプレーだ。相手に気付かれないよう、リードは控えめにして投手が投球モーションに入ると、大きく飛び出した。
バントの打球が投手の前に転がり、三塁走者は生還。投手が一塁に送球したとき、三吉選手はすでに三塁ベースを蹴って本塁をめがけていた。捕手に送球が返り、際どいタイミングになった。「体が勝手に反応してくれて」捕手のタッチをかわすと、左手が本塁ベースに触れてセーフ。2点スクイズを成功させる、逆転の生還となった。
後藤将和監督が「強気」と評する1年生が、値千金の働きをみせた。(吉田啓)
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