(12日、第106回全国高校野球選手権熊本大会、熊本商2―0済々黌)

 一つずつアウトを取ればいい。八回表、1死二、三塁のピンチにも、済々黌のエース、久保田光貴投手(3年)に焦りはなかった。スコアボードに0が並んだ試合の終盤でも「うちは後攻、得点を許しても逆転できる」と落ち着いていた。

 この日、低めに集めることが出来たカットボールで続く2打者をゴロに仕留めた。

 タイブレークとなった十回表、1死二、三塁でも相手打者に内野ゴロを打たせたが、三塁走者が巧みに滑り込んで本塁送球のタッチをかいくぐり、決勝点になった。

 創部124年の済々黌野球部で、プロ野球阪神タイガースで活躍する大竹耕太郎投手ら、数多の先輩が背負ってきた背番号「1」を任された。重圧もあったが、仲間たちもファインプレーを重ねて支えてくれた。

 敗れはしたが、相手の強力打線を九回まで無得点に抑える好投に「ベストピッチができました」。すがすがしい表情を浮かべて球場を後にした。(吉田啓)

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