(11日、第106回全国高校野球選手権京都大会2回戦 塔南・開建7―0莵道)
七回表1死、莵道の神農(かんの)亮太さん(3年)がマウンドに上がった。塔南・開建の前の打者が左翼席に放った3点本塁打の余韻が残っていた。
1回戦の洛北戦で完投し、この日も強気の投球を見せた先発の村上大剛さん(3年)から引き継いだマウンドだ。
野球を始めたのは小学生のころ。中学校で陸上部に所属したが、「もう一度、野球がしたい」と高校で野球部を選んだ。
「うまくなじめるかな」。そんな不安は、仲間と一緒に白球を追ううちに消えた。内野手と投手、両方の練習を重ねた。
マウンドからは、応援席からの声援が、ひときわ大きく聞こえた。
四球を与え、左前安打を打たれた。
「全力で投げて、帰ってこい」。チームメートの声が聞こえる。
犠打を決められ、2死二、三塁。迎えた打者の初球に選んだのは、磨いてきた得意のカーブ。見事にストライクをとった。3球目で一ゴロに打ち取り、ベンチ前で迎えてくれた仲間とハイタッチを交わした。
打者4人、投球数は13、失点はゼロ。「3分の2回だけだったけど、楽しかった」。背番号4はそう言って、笑顔を見せた。(八百板一平)
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