(9日、第106回全国高校野球選手権山梨大会1回戦 山梨学院11―0笛吹)

 笛吹の神坐(じんざ)直人主将は家を出る前、帽子のつばの裏に「気持ち」と書いた。相手は山梨学院。今春の選抜大会で8強入りした強豪だ。

 「力で劣っても同じ高校生。気持ちでは負けない」。その決意を刻んだ。

 チームでは4番打者を務める。過去に山梨学院との練習試合で内角を攻められた経験から、対応を練習してきた。

 成果が出たのは四回裏。内角に来た初球を思い切りたたくと、中越え二塁打に。チーム唯一の長打になった。「次につなげる」。気持ちのこもった打球だった。

 11点を追う六回裏1死一塁の場面では、フルカウントから四球を選びチャンスを広げた。いずれも得点につながらなかったが、「これまでの練習が最後に実った」と感じている。

 チームに3年生は3人。最初は「何を言ってもチームはまとまらなかった」。それでも粘り強く声をかけ続け、夏までに形にした。山本創平監督は「本人は苦手だったかも知れないが、先頭にたってくれた。二塁打は彼の努力の証し」と評価する。

 神坐主将は「いい思い出がたくさんできた。日々やってきたことは、絶対に試合に出る」。後輩たちにそう伝えたいと考えている。(豊平森)

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