(26日、第106回全国高校野球選手権北北海道大会空知地区Aブロック2回戦 クラーク国際32―0栗山)

 対戦相手が昨年の北北海道の代表校、クラーク国際に決まったとき、栗山の松尾弘人主将(3年)は、思わず苦笑いを浮かべていた。「みんな沈むだろうな」。抽選結果をチームに報告に行くときは、気が重かった。意外にもチームの反応は爆笑。盛り上がりにびっくりするとともに、「逆に励まされた気がして、うれしかった」

 清水瑛樹監督は、栗山は松尾主将が作ったチームだと表現する。1年時から学年で1人きりだった松尾主将。昨夏、後輩と2人で新チームをスタートした際、「最後の夏は単独チームで出場したい」と訴えたのだ。

 連合よりもチーム力は落ちる可能性がある。それでも、「連合だと他校に頼りがちになるし、移動で練習時間も少なくなる。自分でチームを作ってみたかった」と松尾主将。清水監督は「勝ちよりも価値をめざそう」と申し出を受け入れた。

 チームは春にバスケ部の助川劉砥選手(3年)と1年生3人が加入。テニス部などからも応援を得て、この夏、めざしていた単独出場を達成した。

 クラーク国際は強かった。

 それでも抽選会の日に、爆笑しながら誓った「最後まで笑顔でプレーする」は貫いた。松尾主将は試合後、「勝てなかったけど、仲間と過ごした時間と楽しさは、1人では得られない思い出になりました」と笑顔。価値ある1年間が終わった。(佐々木洋輔)

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