九州情報大から唯一の出場となった右田選手=大分県の宇佐市総合運動場相撲場で2024年5月3日午後0時7分、林大樹撮影

 5月3日に大分県の宇佐市総合運動場相撲場であった第63回全国大学選抜相撲宇佐大会(毎日新聞社など主催)で、九州情報大(福岡)の右田英五郎選手(1年)はチームから唯一の出場だった。「少し寂しかったですが、九州情報大のプライドを持って戦う」と心に決めて挑んだ。

 大分県中津市出身の右田選手は、中学まで柔道に打ち込み、地元の東九州龍谷高で相撲を始めた。身長178センチ、体重90キロで細身の体ながら、左差しからの下手投げなどで勝負に行くなど、多彩な技を持つ。

 大学で相撲を続けようと思ったのは「高校時代に相撲をやりきったと思えなくて、悔しさが残ったから」だった。大学入学後は、当たりの強さに慣れることと、立ち合いでの姿勢の低さなどを日々学んでいる最中だ。

 2023年12月に現役引退した元幕内・東龍らを輩出した九州情報大は、今大会の団体戦出場はできなかったため、右田選手は県内出身者が出場できる個人戦にエントリーした。

 大学入学後、初の公式戦となったが、会場は高校時代に使用し、ライバルと競いながら技を磨いてきた思い出の場所。「お客さんの反応や歓声がすごく、相撲を続けてよかった」と気持ちが入っていた。

 1回戦は早稲田大の選手と対戦。低くもぐり込んできた相手の上体を起こすと、まわしを与えない。苦し紛れに小手投げにきた瞬間に左足で外掛けを決めた。勝利に会場からは大きな拍手が湧き起こり、地元の土俵で初勝利をかみ締めた右田選手は「両親や友達に少しは良いところを見せられたかな」とデビュー戦を振り返った。

 2回戦で近畿大の選手に押し出されて敗れた右田選手。「体重は少なくとも20キロは増やして、国内の同世代の選手とさらに良い取り組みができるようにして勝ちたい」。力不足を痛感しながらも、地元で1勝を挙げた経験を基に、さらに相撲道に精進していく。【林大樹】

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