国民民主党は10日午前、子育てと家族の介護を同時に担う「ダブルケアラー」の支援推進法案を参院に提出した。政府に実態を追跡する定期的な全国調査を義務付けるほか、当事者たちの負担軽減を国や自治体、事業主の責務と位置付けたことが柱。与野党に法案審議を呼びかけ、国民的な議論につなげたい考えだ。
玉木雄一郎代表は提出後に国会内で記者会見し、「ダブルケアは非常に大きな社会問題だ。国会で中心的な課題として議論するきっかけにしたい」と語った。
法案を取りまとめた伊藤孝恵参院議員も同席し、「ジェンダー格差や労働力不足、介護離職とそれにつながる貧困や孤立といった現代の課題がダブルケアに内包されている。これに対応しないと、社会が成り立たなくなる」と訴えた。
国民民主の単独で提出された法案は、「育児・介護二重負担者の負担の軽減を図ることが社会全体で取り組むべき課題」と明記。子育てと介護の行政窓口が異なることで十分な支援が進まない「縦割りの壁」について解消を求めている。
ダブルケアラーの負担軽減に向け、国や地方自治体に柔軟な働き方を促進する制度の導入や、国民の理解を深める啓発活動の充実や学校教育の推進なども盛り込まれている。
ダブルケアは少子高齢化や晩婚・晩産化を背景に広がり、毎日新聞が国の統計に基づき実施した独自集計によると、2017年時点で全国に少なくとも29万3700人いることが明らかになっている。30~40代の働く世代が9割を占め、担い手は女性に偏っている。【田中裕之、井手千夏】
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