硬い表情で加藤勝信財務相との合意内容を説明する阿部俊子文部科学相(中央)=東京都千代田区で2024年12月24日午後5時53分、斎藤文太郎撮影

 公立学校の教員の給与を巡る文部科学省と財務省の議論は24日、残業代を支払わない代わりに給料月額の一定割合を上乗せする「教職調整額」を4%から段階的に10%に引き上げることで決着した。財務省は将来的に、教職調整額を規定する教員給与特別措置法(給特法)を廃止し残業代支払いに移行することを示唆していたが、給特法は維持されることになった。

 24日夕、それぞれの大臣が予算案について合意した。教職調整額は、2030年度までに毎年1%ずつ引き上げる。財務省が当初主張していた業務削減などの条件は付けない。「定額働かせ放題」などと指摘されることもある給特法の課題の整理も進めるが、廃止は議論されない見通し。

 26年1月からの支給率は5%とし、給特法改正案を25年の通常国会に提出する。支給率が上がるのは1972年の給特法施行以来初めて。

 文科省は予算の概算要求で13%への引き上げを求めたが、その理由は一般公務員と比較した場合の給与の優遇率を7・42%確保するためとしていた。10%の場合、優遇率は当初想定を下回るが、各種手当の新設拡充を含めると優遇率は約7%になる見込みという。

 文科省と財務省は働き方改革の加速や教員定数の改善でも合意。中学校で26年度から順次、35人学級を導入する。文科省が要求していた小学校3、4年への教科担任制拡大は4年のみが対象となる。【斎藤文太郎】

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