大阪府岸和田市の永野耕平市長(46)に対する不信任決議案が20日可決された。決議が「即刻、退陣を」と求めたのに対し、永野市長は反発するなど、市長と議会の対立が深まった。市政の混乱が長引く中、今後の市長の「判断」により、市長選か市議選、あるいはダブル選が2025年1月以降に実施される見込みで、市民が審判を下すことになる。
決議の採決が開票され、投票用紙が議場の演壇に並び、白票の賛成20票、青票の反対4票だった。烏野隆生議長が「原案通り可決します」と宣告した。
採決を前に、議員を代表して岩崎雅秋市議(公明党)が「市民の代表の議会に対して説明を怠りながら所属政党に説明し、市長という公人にあるまじき行為。混乱を招いた市長の責任は重大で、市長を信任しない」と決議を読み上げた。これに対し2人が反対討論に立った。
決議は、公明党、共産党、無所属フォーラム、次世代政策会議、きしわだ未来の5会派の全員と、大阪維新の会とにじの会の一部議員の計20人が賛成した。
決議を受け、永野市長は記者会見し、「説明責任を果たしていないわけではない。混乱は残念だが、混乱は自分一人で起こせるものでない。議会は冷静に対応してほしい」と反論した。議会が永野市長に本会議や委員会に出席しないよう求め、決議の採決の際にも市長は不在だった。永野市長は「市長も市議会も市民に選ばれている。市長だけ来るなというのは相当おかしい」と批判した。
永野氏は会見で市議会を解散したうえで自ら辞職し、市長選と市議選のダブル選の可能性に言及した。これに対し、烏野議長は取材に「決議に賛成した議員は市議選を覚悟している」と語り、岩崎市議は「議会を解散する大義がない」と述べた。
永野氏が所属していた維新の会派は対応が分かれ、議員4人のうち1人が決議に賛成し、3人が反対に回った。会派の倉田賢一郎幹事長は「所属議員それぞれで判断した」と説明し、決議に反対した理由について「市長を擁護しているわけではなく、説明が不十分なのでしっかり事実解明したうえで辞任すべきだ」と述べた。
維新の吉村洋文代表(府知事)は取材に応じ、「訴訟の制約があったとしても、十分な説明が果たされている状況ではないと多くの皆さんが思っているだろう。(議会解散が)本当に理解を得られるのかどうか、よく考えてもらいたい」と話した。【中村宰和、藤河匠、東久保逸夫】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。