東京電力福島第一原子力発電所の事故で、京都府に避難した人たちが国と東京電力を訴えた裁判の控訴審で、大阪高裁は国の責任を否定する判断を示しました。

■京都に避難した166人が国・東電を訴えた裁判

福島県や千葉県など、ほとんどが避難指示区域以外から京都府に避難してきた166人は、国と東京電力に原発事故への責任を問い、およそ8億2000万円の損害賠償を求めています。

■1審では「原告110人について国と東京電力の責任を認める」

1審の京都地裁は、原告110人について国と東京電力の責任を認め、合わせて1億1000万円の支払いを命じる一方、一部の訴えを退け、双方が控訴していました。

原発事故を受けて、避難した人たちが起こした裁判をめぐっては、おととし最高裁判所が国の責任を否定する判断を示して以来、同様の判決が言い渡されていて、今回の判断が注目されていました。

■「国が防潮堤などによる対策を東京電力に義務付けたとしても津波の侵入を防ぐことができなかった可能性が高い」」

大阪高等裁判所(牧賢二裁判長)は18日の判決で、「地震は想定よりもはるかに規模が大きく、国が防潮堤などによる対策を東京電力に義務付けたとしても津波の侵入を防ぐことができなかった可能性が高い」などとして、国に対する責任を否定。

国に対する原告らの請求を全て棄却し、東京電力にのみ、原告のうち92人に対して、あわせておよそ1億1000万円を賠償するよう命じました。

■「判決は最高裁の判決に盲目的に追従」原告側は上告へ

弁護団は、会見で「判決内容は多数の学者などから批判されている最高裁の判決に盲目的に追従し、国の責任を否定したもので極めて、不当である。
強く抗議する」と述べ、上告する方針を示しました。

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