自民、公明、国民民主3党の税制調査会幹部の会合が17日、国会内であった。所得税が生じる「年収103万円の壁」の引き上げ幅について議論する予定だったが、開始数分で国民民主の古川元久税調会長が会議室を飛び出し、「協議打ち切り」と記者団に告げ、協議が終了した。
一方、自民の宮沢洋一税調会長は会合後、「協議を続けたいのが自公の考えだ」として継続を求めた。石破茂首相も同日、「いろんな齟齬(そご)があるのかもしれないが、引き続き協議をお願いしたい。対応には誠意をもって臨みたい」と述べた。
宮沢氏によると、与党側の新たな提案がなかったことから国民民主側は席を立った。古川氏は「やる気がないと判断せざるを得ない」として2025年度の税制改正関連法案や政府予算案に賛成できないと記者団に述べた。与党は政府予算案の編成の前提となる与党税制改正大綱の週内取りまとめを目指す方針。
現行の年収103万円の課税水準は、最低限の生活費に課税しない基礎控除(48万円)と会社員らの経費を差し引く給与所得控除(55万円)の合計。与党側は前回会合で、1995年以降の食料や家賃、光熱費など生活に身近な物価の上昇率に基づき、それぞれ10万円ずつ引き上げ、課税水準を123万円にする案を示した。しかし、国民民主は11日に3党幹事長間で合意した「178万円を目指して、来年から引き上げる」ことを重視する。
「国民民主の振る舞いは芝居だ」(与党関係者)との声も上がるが、協議継続に向けた焦点は与党側の出方だ。公明の西田実仁幹事長は「先方が話にならないということであれば、話になるような提案をしないと前に進まない」とする。国民民主の榛葉賀津也幹事長も「あとは自民がどう考えるかに尽きる」とする。
自民税調幹部によると、17日の会合には、年収の壁の見直しに関連して国民民主の要望を上回る案を用意して臨んでいたという。【福富智、小田中大、野間口陽、安部志帆子】
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