厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 2025年度の生活保護基準について、厚生労働省は今年度までとしている月額1000円の特例加算を継続し、加算額を500円引き上げる方向で最終調整に入った。取材に複数の関係者が明らかにした。政府・与党内で年内に決定する。

 生活保護費のうち食費や光熱水費などに当たる生活扶助費の基準は、総務省が5年に1度公表する全国家計構造調査を基に一般の低所得者層(年収が下から10%の層)の消費との均衡が図られるよう、5年ごとに厚労省の専門家部会で検討される。

 23年度以降の見直しに向けた前回の議論では、19年の調査結果に基づいた厚労省の試算で高齢者や単身世帯を中心に引き下げとなった。これに対し、与党議員らが足元の物価高などが考慮されていないと指摘。政府・与党は試算を反映させた上で、2年間は1人当たり月額1000円を生活扶助基準に特例加算し、加算後も元の支給額を下回る世帯には支給額を据え置く「従前額保障」を設けることで決着した。

 特例加算の期間終了を前に、厚労省は物価が依然として高水準で推移していることから25年度以降の特例加算の延長を検討。2年前に比べて更に物価高が進んだことも考慮して特例加算を増額し、従前額保障についても継続させる方針だ。

 特例加算などを巡っては、財務相の諮問機関である財政制度等審議会が加算によって低所得者層の消費水準との均衡に不公平が生じるなどとして、引き下げに向けた改革を提言していた。【肥沼直寛】

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