衆院の政治改革特別委員会が10日開かれ、政治資金規正法の再改正などに向けた議論が本格化した。各党は共同提出を含め計9本の法案を提出。与党が過半数割れする中、21日の臨時国会会期末までに法改正が実現するかは不透明な情勢だ。企業・団体献金の禁止や使途公開が不要な「政策活動費」の廃止、政治資金を監視する第三者機関の設置などが主な論点となる。
この日は各党が意見を表明した。自民党の牧島かれん氏は、政策活動費の廃止を盛り込んだ再改正案について説明し、「党所属議員などへの非公開支出は完全になくなる」と強調した。一方、外交やプライバシーなどへの配慮から一部を非公表にできる「公開方法工夫支出」の一例として、ドメスティックバイオレンス(DV)や性被害の当事者から意見聴取した場合の旅費や謝礼を挙げ、「公開方法の工夫は明らかに必要だ」と述べた。
立憲民主党の落合貴之氏は、企業・団体献金の禁止や、政治資金や政治団体を国会議員の親族が引き継ぐ世襲の禁止などを訴え、「国民の期待に応えられるかどうかのラストチャンスだ」と強調した。日本維新の会の池下卓氏は公開方法工夫支出について「新たなブラックボックスを作る内容だ」と批判した。
一方、10日の衆院予算委員会でも政治改革に関する質疑があり、石破茂首相は企業・団体献金の禁止について「企業も表現の自由は有している。企業・団体の献金を禁じることは、少なくとも憲法21条に抵触すると思う」と述べた。【池田直、高橋祐貴】
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