福島県産日本酒の酒粕を食べて育った、福島牛がデビューした。原発事故による風評を受け、福島県産の和牛の価格は全国平均を下回る状態が続いていて、ブランド力の向上が期待されている。

<酒粕パウダー入りの飼料>
12月9日、福島県郡山市の農産物直売所「愛情館」でデビューを飾ったのは、福島県の新たなブランド牛「福粕花(ふくはっか)」。
デビューイベントに登場した、お笑い芸人のあばれる君も「やわらかい!」と感動したそのおいしさの秘密は、福島県などが独自に確立した育て方にある。
「福粕花」の特徴は、出荷前の90日間に福島県産の日本酒の酒粕を一日あたり100グラム与えること。その中でも、肉質等級が最高級の「5等級」だけが「福粕花」として出荷される。
「福粕花」を出荷する福島県天栄村の池田農場・三島木寿雄さんは「酒粕入りのエサは、香りも良く甘いみたいで喜んで食べている。肉質は、柔らかくなりジューシーに。甘みが強いけど飽きずにしつこくなく、おいし食べられる肉」だと話す。

<価格が落ち込む県産牛>
福島県やJA全農福島、福島大学などが2021年度から実証実験を行い、準備を重ねてきた背景にあるのが福島県産和牛を取り巻く“厳しさ”だ。
原発事故による風評で、福島県産和牛の平均価格は一時全国平均と比べて約3割も落ち込んだ。その後も、マイナス10%程で推移し、2023年度についてもマイナス11.5%の価格差があり、全国平均に追い付かない状況が続いている。
池田農場の三島木寿雄さんは「やはり悔しい。確実に向上しているので、もっともっと評価してほしい」と話し「福粕花という新たな付加価値が付くことで、価格の向上や風評払拭という面で期待したい」と語った。

<販路拡大を目指す>
そんな期待を背負った福島県の新たなブランド牛「福粕花」。試食会では「脂は強いけど、さっぱりしている」「塩コショウでシンプルに。こちらは野菜と一緒に食べて元気出したい」などと好評だった。
福島県は2024年度に140頭を出荷する。福島県畜産課の横田真良課長は「まずは、福島県ならではのブランドに育って欲しい。それを評価していただいて、さらに付加価値が県産和牛の価格に反映できれば」と話す。2028年度には300頭に拡大させ、全国への販路拡大を目指している。

愛情館では無くなり次第、販売を終了するが、12月13日から3日間限定でヨークベニマルの一部店舗でも販売を予定している。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。