この時期、駆け込みでの申し込みが増える「ふるさと納税」、寄付金をだまし取る「偽サイト」の実態に迫りました。
師走を迎え、何かと慌ただしくなるこの時期に、駆け込みの申し込みが増えるのが12月末に今年の期限を迎える「ふるさと納税」です。
特製デミグラスソースを使った「鉄板焼きハンバーグ」。
ナイフを入れると、中からとろっとろのチーズがあふれます。
ほかにも霜降りの和牛やウナギの蒲焼きなど「ご当地グルメ」を中心とした返礼品が人気を集めています。
ふるさと納税は出身地や応援したい自治体に寄付ができる制度で、返礼として名産品などが届くほか、所得税・住民税の還付や控除を受けられる仕組みです。
年収などで異なりますが、実質負担2000円で返礼品が受け取れるということで、多くの人が利用しています。
みなさんは今年、どんな返礼品をお目当てにしているのか、福岡の街で聞いてみると…。
◆30代
「肉です。佐賀牛」
◆60代
「北海道の正月用の数の子を頼んだ。先週かな、つい最近」
◆20代
「イチゴとホタテ。ホタテは北海道かな。ふるさと納税、12月までにやんなきゃと思って先週やった」
このようにふるさと納税の返礼品といえば、普段は買わないちょっとぜいたくなものを選ぶ人が多いイメージでしたが、今年はある異変が…。
◆20代
「トイレットペーパーとキッチンペーパーと。トイレットペーパーは1年くらい買わずにそれがあるのですごく便利」
◆50代
「いまお米が高いから、お米を買おうかなと」
今年「ふるさと納税サイト」でどんな言葉が多く検索されたのかを示したキーワードランキングでは、3位は「訳あり」、2位は「トイレットペーパー」、そして1位は「米」でした。
物価高や“令和の米騒動”などを背景に、日々の生活や節約を意識した返礼品に人気が集まっているようです。
そんなふるさと納税ですが、総務省によりますと、全国の自治体に寄付された総額は昨年度1兆1175億円と初めて1兆円を突破しました。
4年連続で過去最高を更新していて、いまや6人に1人が「ふるさと納税」を利用しています。
ふるさと納税の人気が高まる中、福岡県警本部の一室では捜査員がパソコンの画面に目を光らせていました。
◆捜査員
「これも偽サイト。これも偽サイト。これも。これも偽のふるさと納税サイト。これも偽物ですね」
ふるさと納税の「偽サイト」を取り締まるサイバーパトロールです。
◆捜査員
「カニのページが開くんですけど、『納税』なのに割引価格とか。ぱっと見た感じ本物のサイトなんですけど」
偽サイトは他にも…。
◆記者リポート
「こちらのサイト、高額な商品が並んでいます」
『特価用品専門店』と題されたサイト。
寄付額のところを見てみると、本来の金額が線で消され、割引の金額が赤で記載されています。
警察によると、このように「寄付額の値引き」を強調しているのが偽サイトの最大の特徴の1つだといいます。
国民生活センターには「商品が届かない」などの相談が相次いでいるといいます。
会社概要について記載された画面もあり、そこには福岡市内の所在地や電話番号も。
その番号に記者が電話してみると、ふるさと納税に全く関係のない福岡市内の飲食店でした。
店長は「ふるさと納税のサイトを見た電話が次々とかかってきて、非常に迷惑している」と話していました。
さらに、概要に載っていた住所も、飲食店とは別の住所であることがわかりました。
その「所在地」を訪ねると…。
◆記者
「『特価用品専門店』というサイトを見てきたんですけど『○○(会社名)』さんですか?あ、偽サイト? 勝手に名前使われてるってことですか?」
「所在地」とされていた場所にあったのはふるさと納税と全く関係のない会社で、サイトを見た人からの電話が相次いでいて、警察にも相談しているといいます。
◆従業員
「ふるさと納税の事業はしていません。商品もうちに一切ないものです」
実在する会社や店の住所・連絡先を許可無く掲載し、あらゆる方面に迷惑をかけている偽サイト。
警察は…。
◆福岡県警 サイバー犯罪対策課 的野史孝 次席
「ふるさと納税のサイトで割引や期間限定の宣伝をしていることはありませんので、返礼品の名前で検索すると当然公式な品物もあるが、(偽サイトも)混ざってきて、慣れていない人だと価格の比較を始めてより安いほうに誘導される」
ふるさと納税の人気が高まる中で巧妙化する「偽サイト」。
警察は、正式なポータルサイトや自治体のサイトなどを利用するよう注意を呼びかけています。
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