地方創生を掲げる石破茂政権では、衆議院岡山3区選出の加藤勝信さんが財務大臣を務めています。国の財布を管理するトップですが、地方とはどう向き合うのか、話を聞きました。
11月22日、東京の財務省で、岡山県の伊原木隆太知事から要望書を受け取る加藤大臣。国の予算で防災や減災に必要な費用を確保することなどを求められました。
直接、防災を担当するトップではありませんが、地方の声を大切にしています。
(加藤勝信財務相)
「被害が起きないような対策をしっかりすることで、地域の皆さんが安心して住み続けられる」
2024年10月の衆院選で、岡山3区から8選を果たした加藤大臣。自民党議員として自公政権を支え、これまで官房長官などの要職を歴任してきました。
この秋、誕生した石破政権では、かつて官僚として勤務した財務省のトップに初めて就任しました。財政健全化も使命ですが、必要な予算は確保するという考えを持っています。
11月29日には、物価高騰対策や能登半島地震の対策を含む約39兆円の総合経済対策を閣議決定。現在、開かれている臨時国会には、約14兆円の補正予算案を提出する予定にしています。
(加藤勝信財務相)
「海外からのエネルギーや小麦価格が上がり、国内の物価が上がるということもあった。こうしたものが、特に生活の厳しい人たちに影響を与えているので、今回の経済対策でそういう人たちを支援していく。エネルギー価額が上がっているので、特に25年1月から3月の電気・ガス代に対する支援。燃料価格の激変緩和をしっかり継続し、国民生活を守りながら強い経済へ移行させていく。これを丁寧に進めていきたい」
10月の衆院選で自公は少数与党に。野党との連携を進める中、衆院選で議席を伸ばした国民民主党との連携が進んでいます。
その中で議論が始まったのが、国民民主党が掲げる、年収が一定の額を超えると所得税が発生する「年収の壁」の引き上げ問題です。税をつかさどる財務大臣として深く関わります。
(加藤勝信財務相)
「総合経済対策の中にも「103万円の壁」について2025年度税制改正の中で議論し引き上げると明記されているから、それに沿った形で今後の税制改正へ、こうしたプロセスあるいは各党間で議論して具体的な中身が決まっていくと思っている。政府としてはそれを見守りつつ、必要な対応や議論が深まるサポートをしっかりやりたい」
「年収の壁」は働き控えにつながり、企業などの人手不足に影響していると指摘されています。人手不足が深刻な地方では、「年収の壁」引き上げを評価する一方、それに伴う減収によって自治体の税収が大幅に減るため代わりの財源確保を求める声が出ています。
(加藤勝信財務相)
「財源をどうしていくのかを含めた議論。この件にかかわらず、常に必要されているのでそれも含めて議論されていくものと承知している」
2024年秋には、自民党のトップを決める総裁選に岡山選出の国会議員などから推薦され初めて出馬した加藤大臣。落選しましたが、公約として掲げた「所得倍増」は、大臣となった今も大切にしています。
(加藤勝信財務相)
「強い経済にしていくには個人消費が増え、設備投資が増え、経済の成長につながっていく。個人消費が増えるためには賃金が上がっていかないといけない。そうなると国民の物を買おう、サービスを受けよう、旅行に行こうなどとなり、前向きになっていく。賃上げにはその原資が必要なので企業がより付加価値の高い事業に展開をし、より収益を上げていく。そのために投資をしっかり支援していく。こういったことを重ね、うまく回っていく状況を作っていくことが大事だと思う」
経済・社会環境の劇的な変化に加えて国政も揺れ動く中、政権に入った加藤財務相。マクロな世界を見るその目のフレームには、地方というテーマもしっかりと映っています。
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