自民党の政治改革本部の初会合であいさつする石破茂首相(中央)=東京都千代田区の党本部で2024年11月12日午前10時6分、長谷川直亮撮影

 自民党は12日、政治改革本部(渡海紀三朗本部長)の初会合を党本部で開催した。石破茂首相(党総裁)は、企業・団体献金のあり方について、党の見解をまとめるように指示した。「法改正が必要であれば、それに向けて取り組むことも必要なのかもしれない」とも述べ、政治資金規正法などを改正する可能性に言及した。

 首相は会合の冒頭で、政治資金のあり方について「我が党がリードする形できちんと結論を出していきたい」と指摘。企業・団体献金に関しては「いつまでにということはないが、我が党として考えをまとめる必要がある」と述べ、党の見解をまとめるよう求めた。

 企業・団体献金を巡っては、立憲民主党の野田佳彦代表が禁止を強く訴える一方で、国民民主党の玉木雄一郎代表は慎重姿勢をにじませており、野党内にも温度差がある。今後、政治改革の与野党協議で大きな争点となる見通しだ。

 首相は、税金を原資として、国会議員数などに応じて毎年配分される政党交付金を念頭に「政党がそういうものに依拠する度合いが高まっていいのか。バランスをどう取るかは、突っ込んで考えていかなければならない」と指摘。渡海氏も会合後、記者団に「個人献金が正義であって企業・団体が悪だという前提は、やはり少し議論しなければならない」と述べ、慎重に検討していく考えを示した。会合では出席議員から、企業・団体献金の公開方法などについて意見が上がったという。

 一方、渡海氏は会合後、記者団に対し、政策活動費の廃止▽第三者機関の設置▽調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開――の3点について「臨時国会を一つのめどに、今年中に結論をちゃんと出していきたい」と明言。「法改正までやる」として臨時国会で政治資金規正法を再改正する可能性に言及した。今後、公明党や野党各党に働きかけ、与野党協議の枠組みを検討する考えを示した。

 衆院選で大敗した自民にとって、「政治とカネ」を巡る政治改革の実現は、党の立て直しに向けて避けて通れない課題だ。一方、自民が改革を急ぐのは、この問題が長引き、来年通常国会での2025年度当初予算の成立や、来夏の参院選に影響を与えることを避けたい思惑がある。与党幹部は「年末までにどこまで企業・団体献金の議論に踏み込めるかがポイントになるだろう」と語った。【金寿英、高橋祐貴】

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