2023年7月の知事選で若者にうちわを配る桐生市選挙管理委員会の職員ら=同市の群馬大桐生キャンパスで同年7月19日午前11時52分、大澤孝二撮影

 異例の短期決戦となった衆院選。「15日公示、27日投開票」の日程を目前に、群馬県内の選挙管理委員会からは、準備が間に合わないと悲鳴が上がっている。イベントシーズンの秋、投票所となる小中学校や公共施設は運動会や文化祭といった催しの予定が入っており、職員らは頭を悩ませている。

 1日に発足した石破茂内閣は、9日に衆院解散に踏み切る方針。就任から8日後の解散、26日後の投開票は、いずれも戦後最短となる。解散から投開票までの期間の18日間も、2021年衆院選(17日間)に次いで戦後2番目の短さという。

 前橋市では、期日前投票のため、これまで公示日までに投票所入場券を郵送してきたが、今回は公示後に数日ほどずれこむ見通し。

 さらに、投票所の多くは小中学校だ。中には校庭で運動会、体育館で投票を同時並行で進めるケースも出る見通し。同市の公共施設では、26日に文化祭が開かれるため、期日前投票をとりやめ、27日の投開票は場所を変更するという。

 ある自治体では、投開票とバッティングして、文化祭が延期されたケースも。担当者は「国会論戦に前向きな石破さんなら、投開票は11月10日が本命と見立てて調整していたのに。想定外だ」とぼやく。

 県選管は会議室の確保に難航。15日の公示日、これまで立候補の受け付けに使ってきた広い会議室は予約で埋まっており、普段は式典に使っている西洋建築の昭和庁舎に変更した。逆に、当選した候補者に証書を渡す儀式は、昭和庁舎があいておらず、県庁内の会議室にせざるを得なかった。

 投票を呼びかけるために行ってきた啓発活動の準備も間に合わない。23年夏の知事選ではうちわ約6万7000個を配布。秋の選挙ならウエットティッシュを配布するつもりだったが、今回は購入や投開票日の印刷、納入に必要な期間を確保できず、断念するという。【田所柳子】

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