ミカンやユズといった高知が自慢とする柑橘類に2024年は異変が起きていました。動物による食害や暑さなどで、中には「収穫がゼロ」というものも。高知県安芸市の農園で、現状を取材しました。
(リポート 野中鱗太郎 記者)
「こちらのミカンの木、実がついていませんが収穫が終わったわけではありません。全て食べられてしまったということです」
高知県安芸市で文旦やユズなどの柑橘類を育てている千光士(せんこうじ)農園。
2024年は野生動物による食害に悩まされてきました。
「すごい、なにこれ、これ鳥ですね、おそらく。もしくは小動物」
中でも被害が大きかったのが、温州ミカン。2023年は3トンほど収穫量がありましたが、2024年は一つ残らず動物に食べられ、全滅だったといいます。
(千光士農園 千光士尚史 代表)
「大打撃ですね、前年対比、本当に0パーセントです。一玉も販売はできませんでした。今年は。タヌキとかイノシシ、ハクビシンとかがガジガジ下になってるミカンを食べてたりしてたんですけど、何回かに分けてどんどんなくなっていくというのは初めてでした」
千光士さんによると「犯人」は、恐らくサル。鳥などとは違った食べ方の痕跡が、残されていました。
(千光士農園 千光士尚史 代表)
「鳥だと枝取らないので、皮が残った状態で木に(残る)」
サルによる被害は「実」だけではありません。温州ミカンの「木」にもダメージが…。
(千光士農園 千光士尚史 代表)
「ミカンを取るためなのか分からないですけど、ミカンを取るときに枝ごと折れちゃった。何年かこれぐらいになるまでかかるので、その分やっぱり木をやられるとちょっと大変」
山に食べ物がなくなったことで野生動物の行動範囲が広がり、柑橘類が多い農園に来るようになったことが原因と考えられます。農園では収穫の時期を早めるなどして対策していますが、ミカン類はすでに半分以上が食べられてしまったといいます。
そして、収穫量が減っているのはミカン類だけではありません。高知を代表する柑橘、ユズにも影響が…。
(千光士農園 千光士尚史 代表)
「今年ユズは春先の大量発生したカメムシの影響でユズにとにかく傷が多い、カメムシがユズが小さいときに吸っちゃって、その傷が大きくなった時も目立つように残ってるので、きれいなユズが高知県下ですごく少ない状況です」
元々、「裏年」とされる2024年。春にはカメムシ。そして夏以降は、長く続いた暑さ。さらに秋以降は、高温によって異常発生した別の虫と、影響が長く続いています。
(千光士農園 千光士尚史 代表)
「ずっと日が当たり続けて果皮が持たなくなって、こういう症状になるんですけど、ここまでいってしまうと、中の果肉の部分、果汁の部分も味が変わってきたり変化が出てるので、ここまでいくと搾汁用のユズにもならないです」
千光士さんは2024年、「玉」として市場に流通するユズが前年の半分ほどになると予想しています。
表面が傷ついたユズは多くが搾汁に回され、味や品質に全く問題はないということです。
(千光士農園 千光士尚史 代表)
「今年このような状況でユズを含めた色んな柑橘が少ないです、今年ある、今、旬のものを1玉1玉大切に使っていただいて、食べていただきたいと思っています」
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