冷え込みが厳しい11月の夕方、ラーメン店の駐車場にうずくまる高齢女性…。夜の営業に向け、まさに人気ラーメン店が開店の準備に入るころ、女性の命が救われました。
自家製麺 栗ノ木 唐芳陸さん
「まず救急車って叫んだような気がします。なんかもうやばいなと思ったんで」
富山県滑川市上小泉にあるラーメン店「自家製麺 栗ノ木」こだわりの中華そばがウリで、開店前から行列ができる人気店です。
11月3日午後4時50分ごろ、夜の営業に向けて仕込みに入った店主の唐芳陸(とうよし・りく)さん(32)とアルバイトの板川孝志(いたがわ・たかし)さん(37)は、駐車場の片隅に倒れこむ高齢とおぼしき女性を発見しました。
自家製麺 栗ノ木 店主 唐芳陸さん
「ここで倒れてたんですよ。もう少し草が生えていて、おばあちゃん見えるか見えないかぐらいな…うずくまってました。気分が悪そうな感じだったというか…」
「もう大丈夫、帰る」と女性…しかし足元が
草むらにうずくまるように倒れていた高齢女性。
11月に入り、日も暮れ気温が低下する中でなぜ…。もしや、凍えて動けなくなったのか…
とにかく、早く病院に連れていかなければ…唐芳さんたちは、思わず声をかけてみます。
自家製麺 栗ノ木 店主 唐芳陸さん
「まず、かけ寄って『意識ありますか?』って声かけして。その後すぐ『救急車』呼んだんだけど…」
「そしたら、女性が『もう大丈夫、帰る!』っておっしゃった。意識ははっきりしてたから大丈夫かなと思ったんですけど、足元もおぼつかなかったんで…『とりあえず警察に連絡して後ろついていきます』って言ったんです」
普通に “当たり前に街にいる人たち” の感覚
自家製麺 栗ノ木 店主 唐芳陸さん
「ずっと後ろ歩いていって途中、何回か倒れそうになって…単純に命が心配になったというか、無事でいてほしいというか。どうやって助ければいいんだろうという不安もあったんですけど、勝手に行動していたというか…」
唐芳さんと板川さんは90代の女性に肩を貸しながら、50分ほど800メートルほど離れた自宅まで送り届けました。
この日の気温は14℃、発見が遅れていれば命に関わる危険もありました。
自家製麺 栗ノ木 唐芳陸さん
「助けたという気持ちはあまりないので、普通に “当たり前に同じ街にいる人たち”という感覚なので…、無事で何よりとしかそういう気持ちでしかないです」
自家製麺 栗ノ木 アルバイト 板川孝志さん
「単純に助かってよかったなというか。無事でよかったです。本当に」
人を大切にできなきゃ、美味いラーメンは作れない
11月29日、店主の唐芳さんとアルバイトの板川さんに滑川警察署の金澤孝子署長から感謝状が贈られました。
唐芳さんが経営するラーメン店は、こだわりの自家製麺を使った中華そばが人気で、連日、開店前から行列が出来る人気店です。
唐芳さんはラーメン作りを通して学んだ「人との関りの大切さ」が今回の行動につながったと話します。
自家製麺 栗ノ木 店主 唐芳陸さん
「やっぱりラーメンの世界も人情が大事だと思うので。やっぱり人を “大切にできなきゃ美味いものも作れない” と思っているので、何かそれが普通に本能として思ってるというか。勝手に行動しちゃうという感じですかね。また何かあったら力になりたいと思います」
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