高級食材として知られる二枚貝「タイラギ」。今はほとんど水揚げされていません。この状況を何とかしようと、国や熊本県などが再生にむけた取り組みを進めています。

40年前といま 比較すると…

熊本県上天草市にある施設で、5センチほどの大きさに育ったタイラギの稚貝を、福岡県や佐賀県の担当者が受け取りにやってきました。今、ほとんどとれていないタイラギを何とかしようという取り組みです。

熊本県水産研究センター 生嶋登さん「事業として、熊本ではできていないという状況です」

高級食材タイラギは、かつて熊本を含む有明海沿岸で多くとれました。

ピーク時の1997年には248トンを水揚げしていましたが、2007年の漁で漁師が口にした言葉は…。

漁師の話「海の底はヘドロ、宝の海だったけど死の海だね」

熊本県によりますと、県内のタイラギの生産量はここ数年、ほぼゼロ。激減の原因ははっきりしていません。

生嶋さん「海の栄養が足りないんじゃないか、などあったが明確にはわかっていない」

人の手で復活目指す 切り札は「人工育成」

タイラギ復活の一歩として今、国や有明海沿岸の4県(熊本・福岡・長﨑・佐賀)は人工で育てる方法を模索しています。福岡や佐賀などで3ミリ程度まで育てたタイラギの稚貝を、夏から秋にかけて、上天草市にある県水産研究センターで預かる方法です。

上天草一帯の海水は塩分濃度が安定していることに加えて、県水産研究センターはタイラギのエサとなるプランクトンを確保・供給する技術を持っているため、5センチほどに大きくなるまで熊本で育て、各県に返す方法がとられました。

今年は熊本が預かった約6万4000の稚貝のうち、生き残った2万4000の稚貝が各県に戻されました。

生嶋さん「漁として生業となればいいなと思っていますので、その一部として、県として頑張っていきたい」

まだ始まったばかりの人工育成。生産のサイクル確立を目指します。

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