かつて富山県西部最大の繁華街としてにぎわった高岡駅前は今、衰退の一途をたどっています。ところが高岡駅前が近年まれにみる盛り上がりを見せているといいます。いったい何が起きているのでしょうか。
富山県内第二の都市としてかつては商都と呼ばれた高岡駅前では現在、衰退が進んでいます。
しかし、高岡駅前のアーケード街を訪れてみると、至近距離にたくさんの焼肉店が並びます。
高岡市によりますと、高岡駅前の半径200メートルに焼肉店が11店舗。
このうち3店舗がコロナ禍以降の3年間にオープンし、まさに”焼肉戦争”となっています。
1日1組限定メニュー
高岡駅から約340メートルの場所にある「千久」はおととし2月にオープンしました。
千久 代表 飯田千暁さん
「シャッター街でいろいろ店舗の物件開いているんじゃないかなっていうので高岡にしました。コロナ禍で外にも出れないって状況だったと思うんですけど、焼肉屋さんだしダクトで結構換気もされるので、みなさん心配なく来れるかなっていうので始めました」
ライバル店が密集するこの激戦地で、店長の飯田さんは29歳ならではの若者の視点で独自路線を追求してきました。
飯田さんが運んできたのは1日1組限定のメニュー、キラキラ光る花火とともに登場した真っ赤な肉をバラのように飾り付けた肉ケーキです。
制作時間は約30分で、差別化を目指し、ほかの焼肉店がやっていなかった肉ケーキを半年前からメニューに加えました。
こだわりは見た目だけでなく、酒粕で育てられた富山和牛を使用しているため独特の甘みが特長です。
千久 代表 飯田千暁さん
「お肉のケーキだったり他がやっていないことをやっていって、それをどんどん浸透させていって、県内に限らず県外からもたくさん来てほしいなと思ってやっています」
コロナ禍がきっかけ、焼肉店に業態変化
”焼肉戦争”を勝ち抜こうとあの手この手で知恵を絞るのは御旅屋町交差点の角にある「kado」も同じ。
満席の店内で行われているのは2周年を記念したほぼ全品半額のイベントです。
客
「いつももそんなに高いと思わない、ここやっぱり美味しいんで全部が。そんなに高いと思わないですけど半額は嬉しいですよね」
「半額の時に行った焼肉が一番うまいです。(Qたくさん頼めますね)うん。(Qこのようなイベントはどう思いますか)もっと増えてほしいなって思います」
「kado」は元々古民家を改装した居酒屋ダイニングでしたが、コロナ禍を契機に思い切って焼肉店に業態を変化させました。
kado 澁谷康直 店長
「冷麺とかはスープ自体を全部凍らせてシャーベット状にして出したりとか、元々居酒屋もやっていたので、普通の居酒屋にはないメニューとか出し方は考えてやっています」
週末は深夜の2時まで焼肉を楽しむことができ、SNSのフォロワー先着5組に黒毛和牛ロースのプレゼントなど太っ腹の企画も定期的に実施しています。
kado 澁谷康直 店長
「高岡の街が焼肉で盛り上がっていけばいいかなと思っています」
”焼肉戦争”の背景は?
なぜ、高岡駅前で”焼肉戦争”が起きているのでしょうか?
専門家は――
帝国データバンク富山支店 調査課
大場正範課長
「駅前の飲食店さんがコロナ禍で撤退が続いた中で、不動産のオーナーさんが空いた店舗に入ってもらいたいという思いから、比較的いい条件で店舗を貸し出せるようになったので、チャレンジするほうもしやすかったっていうのはあるんじゃないですかね」
さらにテーブルごとに排気ダクトが備えられている焼肉店は「換気がいい」というイメージで、居酒屋やラーメンチェーンなど異業種の参入が相次ぎコロナ禍に競争が激化しました。
帝国データバンクによりますと、ことしの全国での焼肉店の倒産件数はことし9月末時点で39件で、前年の同じ時期の2倍以上で、過去最多となる見通しです。
帝国データバンク富山支店 調査課
大場正範課長
「輸入牛肉の仕入れ価格っていうのが、コロナ前と比べて1.7倍になっているというデータがあります。そこで大手チェーンとの競争が激化してなかなか値段を上げられない、いわば我慢比べのような状態が続いている」
一方で、同じエリアに同業種の店が増えることでのメリットもあるといいます。
帝国データバンク富山支店 調査課
大場正範課長
「お店が増えるってことは、活気が出ることに繋がってくると思いますので、さらに活気のある街になることを期待しています」
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