カキや牛肉などのトッピングが乗せられた豪華なお好み焼き。広島市でこのほどオープンした店の限定メニューなんですが、その主なターゲットの1つが外国人観光客です。広島港では今年度、過去最多のクルーズ船の寄港が見込まれています。外国人観光客のおもてなしをどう充実させるかが問われています。

藤原大介 記者
「イギリス船籍の豪華客船クイーン・エリザベスが広島港の五日市ふ頭に寄港しました。乗客定員およそ2000人の大型クルーズ船です」

クイーン・エリザベスは4月16日に東京から出航。神戸・高知・韓国の釜山・長崎を経由し、24日、2019年4月以来、5年ぶりに広島港に寄港しました。

乗客たちを乗せたバスは、広島市中心部へ。この日はあいにくの雨でしたが、乗客たちは平和公園を訪れ、原爆ドームなどを見学していました。

クイーン・エリザベスに乗船したアメリカ人
「クルーズ船の旅は素晴らしいです。原爆資料館に行ったら泣くかも。私たち2人とも長崎の資料館で泣きました。身が引き締まる思いです」

クイーン・エリザベスに乗船したイギリス人
「私は以前来ましたが、妻は初めての日本です。皆さん、フレンドリーで、とても楽しんでいます」

今月はクルーズ船の「寄港ラッシュ」とも言える状況となっています。広島港への寄港は、「乗客定員1000人以上」のクルーズ船に限定してもあわせて7回にのぼっています。

県観光連盟 インバウンド事業部 玉垣雅史 プロデューサー
「まあ、例えば昨年ありましたG7広島サミットで露出が増えたということとかですね、そこも含めてですね、我々、海外に向かっていろいろと広島の魅力を伝えるキャンペーン、プロモーションをやっていますので、魅力的な観光地っていうようなところの情報が伝わってですね、クルーズの会社さんも広島を選んでいただいてるという状況が生まれているんではないかなと思っています」

日本船も含めたクルーズ船の寄港回数を示したグラフです。2014年度、広島港への寄港はあわせて18回。その後、コロナ禍でいったん大きく落ち込んだものの、全体として増加する傾向にあります。今年度は現時点で過去最多の74回の寄港が見込まれているということです。

26日の東京外国為替市場で、円相場は1ドル=156円まで円安が進みました。歴史的な円安水準も追い風になるものとみられます。

クルーズ船の相次ぐ寄港もあって、増加している外国人観光客。その需要を見込んで新しい店もできています。

女性店員
「2名様、テーブル席ご案内です」

平和公園近くのおりづるタワーで、3月にオープンしたお好み焼き店です。こちらの店では英語が堪能な店員を3人採用したほか、英・中・韓の3か国語で注文できるタブレットを備えています。さらにこの店限定のメニューも提供しています。

男性店員
「お待たせいたしました。『広島満喫スペシャル』でございます」

広島のグルメをお好み焼き1枚で味わってもらおうと、特産のカキ、和牛のコウネ、観音ネギをぜいたくにトッピングしたといいます。

フランス人
「『広島満喫スペシャル』を注文しました。定番のお好み焼きは食べたことがあるので、試してみようかと」

オーストラリア人
「物価はとてもお得に感じます。たくさんのオーストラリア人が今、日本に来ています。たくさん食べて、たくさんビールを飲んで、ちょっと買い物も楽しみます」

店を運営するISE広島育ち 上川学 社長
「立地上、やっぱり観光の需要が多いと思うんで、そういうインバウンドであったり国内の観光のお客さまをターゲットにしてオープンしました。一目で見てもらったらわかりますけど、昔の屋台風をイメージしていまして。こちらの観光の思い出になるような感じではできたらなと」

官民でおもてなしを充実させる動きの一方で、課題もあります。県観光連盟は来年の外国人宿泊者数を320万人にすることを目標としています。コロナ禍前の2019年に記録したおよそ132万人の2.4倍にあたりますが、クルーズ船のほとんどの乗客は船内で寝泊まりします。宿泊つきの広島観光にどうつなげていくかが重要だといいます。

玉垣プロデューサー
「クルーズ船の場合は船でお泊まりになるということですが、日中その他は町に出ていただいて、例えばお好み焼きでありますとかですね、いろんなところでこう広島を楽しんでいただいてるというようなことで、消費にもつながってるかなと思います。また、そういった経験を通じてですね、ファンになっていただいて、再度お友達でありますとかご家族でまた広島に来ていただくということで、また次の宿泊その他につなげたいと考えています」

クルーズ船の乗客に限らず、外国人観光客をどうおもてなしするかは大事です。県観光連盟の玉垣プロデューサーは、おもてなしのポイントとして、▽キャッシュレス決済のさらなる普及、▽ベジタリアンやハラル=イスラム教徒向けの食事への対応、▽各種施設のオンライン予約、▽各国の言語に対応した観光ガイドの育成などを挙げています。

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