地元で愛され続けて45年。高知県高知市の「洋食弁当屋フレンドシップ」が10月5日の土曜日に閉店します。夫婦二人三脚で作りづけてきたぬくぬくのお弁当への思いを取材しました。

「はい、フレンドシップです」

午前10時の開店前から注文の電話が次々と鳴り、厨房はその仕込みに大忙し。10月5日の土曜日に、45年間の歴史に幕を下ろすことを決めた高知市比島の「洋食弁当屋フレンドシップ」です。

店を営むのは西村英治(にしむら・ひではる)さんとちづ子さん夫婦。1979年に前進となる喫茶店を前のオーナーから引き継ぎ、その後、洋食店へと衣替え。そして14年前に現在のお弁当屋さんとなり、自慢の洋食をぎゅっと詰め込んだ弁当を販売してきました。半世紀近く夫婦で歩んできましたが、時代の変化が決断のきっかけになりました。

(西村ちづ子さん)
「まあもう歳ですね(笑)」

(西村英治さん)
「歳とやっぱり原材料が上がったでしょう。この先がちょっと厳しゅうなるんじゃないかなという予想で。もうちょっと(閉店を)伸ばす予定やったけど、デジタル化(カードやモバイル決済など)が余りにも進みすぎて。そういう設備入れたりしても僕らがよう扱わんから」

英治さんは大阪で洋食の腕を磨き、ちづ子さんと喫茶店や洋食店を切り盛りしてきましたが。

(西村英治さん)
「そろそろ店をかわろうかと探しよったんですけど、やっぱりここへ根づいてくれてちゅうお客さんというのがあるから。ほんで持って帰ってもらうようにしたらと、それまでのお店の味をお弁当に詰めてもって帰ってもらうという形でやってみろうかというがでやったがですよね」

自慢の弁当は、午前11時前には昼の予約でいっぱいになるほどの人気ぶり。二人の見事な連係プレーで作っていきますが、限界を超えてしまい断ることもしばしば。

「きょうはいっぱいに…すみません」

人気のメニューはハンバーグや南蛮など。その安さからは想像ができないほど手間をかけ、クオリティを落とさずに作っています。

閉店という報せを聞きつけ、お別れに訪れるファンも。

「ショック。今入り口で初めて知ったんですけど。幕の内弁当が一番好きでね。ほんまにさみしい、不便で弱ると思う」

「豚重(とんじゅう)っていうやつです。これです。すごいボリュームがあって。いつもコスパが良い弁当を提供してくれて、大変そうでしたけどおいしいお弁当をありがとうございました」

(西村英治さん)
「やっぱりおいしかったっていってもらうのが一番でしょ。ごちそうさまで。それ聞きたいだけですよ」

(西村ちづ子さん)
「いつ有難く思って売っています」

(西村英治さん)
「感謝の気持ちだけです。こんなになってもきてくれるゆうたらね」

普段と変わらない店内は思い出の味との別れを惜しむようにたくさんの弁当が並びます。

長年、忙しく働いてきた西村さん夫婦に今後のプランを聞いてみると。

(西村英治さん)
「公園に散歩にいったりそういうことをしたことがないからね。そういうこともこれからできるというたのしみもあるし。のんびりするつもりですよ、とにかく。何にもせずに」

最後の日まであともう少し。二人三脚でいつものようにぬくぬくのお弁当を届けます。

【洋食弁当屋 フレンドシップ】TEL:088-824-2847
10月5日(土曜)閉店 午前10時から午後7時40分
※(仕入れを止めているので)材料が売り切れて5日よりも前に閉店する場合もあり。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。