万博のシンボルになると確信

約7カ月後に迫る2025年大阪・関西万博。会場となる大阪市此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)で、全周2キロを誇る木造建築「大屋根リング」がつながり、9月13日に記念式典が開催された。大阪関西万博会場デザイン・プロデューサーの藤本壮介氏や大阪府の吉村洋文知事などが参加し、報道陣にもお披露目。登壇した2025年日本国際博覧会協会の十倉雅和会長(経団連会長)は「大阪・関西万博のシンボルの一つになるものと確信している」と、出来栄えに自信を見せた。


大阪府咲洲庁舎(さきしまコスモタワー)の50階から撮影した大屋根リング


式典会場となったのは、高さ12メートルの周回路。右下の緑色の部分には、草花が植えられる

今回の万博テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。それを日本人クリエイターらが表現した「シグネチャーパビリオン」(テーマ館)や、海外パビリオンを取り囲むように建造されたのが大屋根リングだ。

万博の核となるエリアへの入場門となると同時に、高さ12メートルを周回できる遊歩道「リングスカイウォーク」は会場を見渡す展望台にもなる。一方、建物内の地上階にある「リンググラウンドウォーク」は、風雨や日差しを避けながら木造建築技術の美しさを楽しむ周回路になるだろう。


完成後のリングスカイウォーク 画像:2025年日本国際博覧会協会提供


快晴の日には、本土と淡路島を結ぶ明石海峡大橋(上部中央右)まで見渡せる


地上の周回路・リンググラウンドウォークでは、日本の木造建築技術の高さを伝える柱と梁(はり)の構造が眺められる

主役は世界中から集まる多様なパビリオン

大屋根の総工費は344億円で、約2万7000立方メートルもの木材を使用。柱や梁、床などの工事は一段落し、開幕に向けてエレベーターの設置や植樹など終盤作業が進む。

資材調達や施工業者の選定が難航し、建設が危ぶまれていた海外パビリオンも157カ国分の配置が固まるなど見通しが立ってきた。藤本氏は「多様な国々、多様な人々が一つにつながり、思いを一つにして未来をつくっていく。(リングがつながったことは)その第一歩となる」と述べた上で、「万博のメインはリングではなく、この中に造られるパビリオン。世界の国々がさまざまな素晴らしさを持ち寄ってくる。それをつなぐリングの役割がより明確になってきた」と感慨深げだった。


リングの内側ではパビリオン建築が急ピッチで進む


「早くリングを一周歩きたい」と笑顔で語った藤本氏

万博の開催期間は2025年4月13日から10月13日までの184日間で、2820万人の来場者を見込む。閉幕後、大屋根リングは解体の予定。木材は再利用を目指し、自治体や建設会社などから活用方法を募っているが、いまだ手順や費用も含めて検討段階だ。

1970年大阪万博のシンボル「太陽の塔」も取り壊す予定だったが、市民の熱烈な要望で解体予定を覆し、永久保存が決定した。吉村知事が大屋根リングの保存検討を示唆しているものの、期間限定を前提とした建造物のため、追加工事のコスト面などを考えると実現は難しい状況だ。


式典が開かれた大林組の工区では、東日本大震災の被災地・福島県浪江町産の木材を大量に使用。閉幕後の有効利用が望まれる


立命館大学の学生による書道パフォーマンス。つながった大屋根リングと万博のテーマを掛け合わせた言葉を、迫力ある字で書き上げた

撮影:土師野幸徳(ニッポンドットコム編集部)

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