世界で5万5000種、国内でも3800種が確認されているカメムシ。この夏大量発生の“不快なヤツ”を調べると…実は謎多きムシでした。
カメの甲羅の形に似ていることから、その名がついたという「カメムシ」。
一般には何とも言えない臭いを放つ “不快なヤツ” として知られているムシですが、ナシやモモといった果実の汁を吸い、いま生産者を苦しめています。
収穫のピークを迎えているナシ「幸水」もこの様に汁を吸われ、ジャガイモのようにゴツゴツとした形に変形しています。
こうした果物の汁を吸うのは「チャバネアオカメムシ」や「クサギカメムシ」といった「果樹カメムシ類」によるものです。
どれにも当てはまらないカメムシが…
富山県果樹研究センターなどが県内12か所で調査したところ、果樹カメムシ類の発生が過去10年で最も多い平年の12倍以上という結果が出ました。
果樹栽培が盛んな富山県魚津市で開かれたモモ農家の摘果講習会。ここでもカメムシへの注意が県の担当者から伝えられるなど危機感が強まっていました。
富山県新川農林振興センター 坂田清華さん
「カメムシって夜行性なので、日中にはあんまり見かけないですけど、日中に見かけたということは、夜にはかなりの密度が来ている可能性があります」
モモ生産者「これじゃない。これカメムシじゃない?」
富山県新川農林振興センター 坂田清華さん 「そう、カメカメ。チャバネです。あ、違う、何だろう」
このカメムシは果樹カメムシ類ではありませんでした。
富山県新川農林振興センター 坂田清華さん
「普段ここらへんにいないようなカメムシもたまに園地巡回で見かけるので “マイナー” カメムシだと思います」
世界に5万5000種、日本だけでも3800種
そもそもカメムシはどれだけの種類が存在するのでしょうか?
カメムシに詳しい富山市科学博物館の岩田朋文学芸員に聞きました。
富山市科学博物館 岩田朋文学芸員
「これは、2015年に日本にどんなカメムシがいるかのリストがつくられたんですけど、その時の数字がこれ。世界だと、だいたい5万5000種くらい、それから日本だと3800種くらいは見つかっています」
驚くべきことに国内だけでも、約3800種類もいるというのです。
さらに私たちが身近に感じる“あのムシ”も、実はカメムシだということが分かりました。
富山で見られないカメムシ…温暖化の影響か
富山市科学博物館 岩田朋文学芸員
「水田に生息するタガメ、これもカメムシ。あとはアメンボもカメムシの仲間です。それから今紹介したものと異なるグループなんですけど、科学的にはセミもカメムシの仲間です」
岩田学芸員によりますとカメムシとセミは、口がストロー状になっているなど体の形が共通していたり、卵から幼虫となり成虫に成長したりすることが一致しているため、科学的には同じグループだと言います。
さらに岩田学芸員は、おもしろいカメムシを紹介してくれました。
富山市科学博物館 岩田朋文学芸員
「アカギカメムシという種で、本州(陸上)で住んでいるカメムシでは一番大きいと言われています。赤くて白と黒のまだら模様が入っていて、ちょっとアロハシャツみたいなトロピカルな模様をしています」
アカギカメムシは暖かい地域を好む種で、これまで富山県では見つかっていませんでしたが、2020年に氷見市で2匹。2023年に富山市で1匹を確認。
近年の温暖化などが影響しているとみています。
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