2020年の7月豪雨から4年。JR肥薩線の復旧へ期待が高まる人吉市にも、着々と前進している人々がいます。
今年再スタートを切った店に、人吉球磨出身の川上涼佳リポーターが訪れました。
連日予約で満席!米屋のこだわりランチ
その一つが上薩摩瀬町(かみさつまぜまち)にある「村口米穀店」。70年もの間、まちのお米屋さんとして親しまれてきました店が、今年、新たな取り組みを始めました。
それはランチ!店を再開してから3ヶ月、連日予約で満席という人気ぶりです。ここまで来るのに4年かかりました。
あの日の豪雨では、球磨川の氾濫で店舗は濁流にのまれました。代表の村口さんの自宅も浸水。2階へ避難し無事だったものの、店舗は壊滅的な状況でした。
村口米穀店 村口隆代表「ぼう然とするしかないですよね。再開とか全くその時には考えなくて、これからどうしようかなっていうだけですね」
村口さんは一時は閉店を考えましたが、『町を盛り上げたい』という思いから再開に踏み切りました。
村口代表「続けるか続けないか考えたときに、この辺のお店が全部だめになったので、親父から受け継いだ以上はやるだけやってみよう」
そんな思いで、お米の販売以外に始めたのが、「こめやのランチ」。地元の食材をふんだんに使った、こだわり満点のメニューです。
なかでもその日の朝に精米して提供するふっくら炊きたてご飯は一番の自慢です。
そのお味は…。
川上涼佳リポーター「甘いです!粒もしっかりしていて おいしい」
さらにデザートは、なんと米粉で作ったプリン!
川上リポーター「舌触りがなめらかで、ほんのり米粉の甘さがあって“あんこ”との相性もバッチリです」
店内では他にも、米粉を使ったどら焼きやせんべいなども販売されています。
村口代表「地域の方々がこの店に集っていただいて、ご飯を食べなくてもいいから座ってお茶を飲んだり、そういう場にしていただけたらと思います」
「賑やかな人吉に」人が集まるカフェと宿
次に伺ったのは、相良村に工場を構える「永尾商店」。創業90年を誇る老舗の漬物専門店で、人気の高菜の漬けは、川上リポーターにとっても慣れ親しんだ味です。
川上リポーター「この味です。物心ついたときにはこの刻み高菜が冷蔵庫に入っていた」
漬物を作っているのは3代目の永尾禎規(ながお ていき)さん。手作業にこだわって受け継がれてきた伝統の味は、長年地域の人たちに愛されてきました。
4年前のあの日は、人吉市にある事務所兼自宅は濁流に飲み込まれ、全壊。そして、父の誠さんを亡くしました。
永尾商店 永尾禎規社長「被災直後は、これからどうなるのだろうという思いでしたが。なんとか事業を続けようと思って」
そんな思いで、永尾さんは人吉市の事務所があった場所でまったく新しい取り組みをはじめたのです。
それが、7月1日にグランドオープンした『カフェながとら』。
目玉商品は、カレーパン。
川上リポーター「パンの甘さとカレーのスパイシーさと、この食感!漬物の食感がよくあいますね」
中には、なんと永尾商店の名物である割干し漬け大根が入っています。
カフェの2階には、素泊まりの宿泊施設をオープン。人吉を愛していた父、誠さんにちなみ『誠屋』と名付けました。
人が集まるカフェと、観光客が泊まる宿。新しくなったこの店には、昔の賑やかだった人吉の町をもう一度見たいという永尾さんの願いが詰まっています。
永尾社長「我々が小さいときのように夏祭りがあったり、歩行者天国の夜市があったり、人がいっぱい集まるような町に戻ってもらいたいですね」
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